福井県で自転車盗難急増、被害者の4割が高校生 警察が4と10のつく日に新アクション

通学用の自転車が施錠されているか確認する福井南署員=9月、福井県福井市の至民中学校

 自転車の盗難被害が今年、福井県内で増加している。9月末までの認知件数は454件で、前年同期に比べて2.2倍(246件増)。刑法犯認知件数を押し上げる要因になっており、福井県警は体感治安の悪化を招くと懸念している。盗まれた自転車の9割が無施錠で被害者の約4割が高校生。県警は「施錠を心がけるだけで被害に遭う可能性はぐっと低くなる。誰もが盗まれるという危機感を持って管理してほしい」と呼びかけている。

 自転車盗は全国的にも増加傾向にある。警察庁の犯罪統計によると、9月末時点で前年同期比32.6%増の約11万9700件に上る。過去4年の県内認知件数は、おおよそ年間300~470件。今年は8月末の段階で400件を上回り、「異例のペース」(県警)で増え続けている。

 福井県内での増加について、県警は▽新型コロナウイルス禍が収まり開放的な気分の人が増えた▽無施錠の自転車を近場まで使って乗り捨てる人がいる―ことが背景にあると指摘。自転車盗は軽い気持ちで手を染めやすい「ゲートウェイ犯罪」とされ、県警は繰り返すと犯罪への抵抗がなくなり、凶悪犯罪につながると危惧する。

 「自転車に鍵をかけるのは当たり前と分かっているけれど、面倒くさく感じる」。県内のある男子高校生はこう話す。被害を最小限に抑えるため、県警は施錠率の向上を重視。県内各署は施錠の意識を根付かせることで盗難被害を未然に防ごうと、登下校の時間帯に駅周辺の駐輪場を巡回し施錠を呼びかけるほか、学校での非行防止教室で施錠の大切さを訴えている。

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 自転車盗難被害の6割は福井市内で発生。同市南部を管轄する福井南署は「じ(4)てん(10)しゃ」にちなみ、4と10のつく日を「自転車盗難防止の日」と定めた。9月から10月ごろまで4と10のつく日を中心に、中学・高校の駐輪場に置いてある自転車の施錠の有無を確認。無施錠の自転車は学校に報告し施錠を促した。その結果、同署管内で8月に7件だった認知件数は、9月には1件に減少した。

 県警生活安全部の田中史彦管理官は「北陸新幹線の県内開業を前に、安全安心な環境を整えるためにもしっかり鍵をかけて管理してほしい」と話している。

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