老朽化が進む体育館に代わる新アリーナ計画 建設予定地をめぐり市民団体が署名活動

愛知県豊橋市が進める新アリーナの建設計画に反対する市民団体が、計画の是非を問う住民投票を求めて署名活動を始めました。

いったい何が起きているのでしょうか?

10月、シーズンが開幕したプロバスケットボールのBリーグ。

豊橋市総合体育館では10月14日、地元・三遠ネオフェニックスの今シーズン初のホーム戦が行われました。

詰めかけたファンは3700人以上。

いまや地元に根差したチームとなっていますが、この体育館にはある問題が。

(ファン)
「応援している側としては行きづらい」
「電車も両方使えたら便利」
「よそのアリーナに行くと新しいところがどんどんできて、古いところが目立ってきているので。やっぱり新しいアリーナがほしい」

建設から30年以上が経ち、老朽化が進んでいるほか、アクセスも悪く、ファンからは「新アリーナ」建設に期待の声も。

そこで、ネオフェニックスを「賑わい」の核にしたい豊橋市が計画したのが。

(豊橋市 多目的屋内施設整備推進室 大林均世室長)
「体育館に訪れた人が街の賑わいに寄与して頂けるような施設が良いよね、という話があり、街中のところで整備できないかと」

市の中心部にあって野球場なども整備されている豊橋公園の中に、約150億円をかけて「新アリーナ」の建設を計画したのです。

豊橋市総合体育館は豊橋駅から直線で5キロ、近くに駅もありません。

一方、新アリーナの建設予定地は豊橋駅から1.3キロ、最寄りの駅からは150メートルの好立地です。

ところが、この計画に「待った」が!

(街頭で署名活動を行う市民団体)
「新アリーナを建設することに賛成か反対か、豊橋市民の考えを住民投票で表しましょう」

建設計画に反対する市民団体が、24日から新アリーナ建設計画の是非を問う住民投票を目指し署名活動を始めたのです。

市民団体が問題視するのは、新アリーナが建設される「場所」です。

(住民投票の実現をめざす市民の会 藤田茂樹共同代表)
「川があれば当然、家屋倒壊等氾濫想定区域。川岸が削られるリスクがあるのは分かっている。(近くに)朝倉川があるから大丈夫か?と調べなかったのか…」

新アリーナの建設予定地は近くの朝倉川が氾濫した際、建物の被害が想定される「家屋倒壊等氾濫想定区域」に含まれていたことが、ことしに入って判明。

市はすぐ南側にある豊橋球場を移転させ、その跡地に建設すると計画変更を決めましたが、今度は、また別の問題が。

(住民投票の実現をめざす市民の会 藤田茂樹共同代表)
「(球場の)移転先が津波の避難ができない場所。やっていることが非常にずさんで、安全を無視しているという意味では問題が大きい」

野球場の移設先が、津波の「特定避難困難地域」に指定されていたのです。

(豊橋市 多目的屋内施設整備推進室 大林均世室長)
「(移設先は)盛り土などの対応をしながら津波対策をやっていこうと思いますし、特定避難困難地域も避難場所があれば、そこから除外することができる」

この野球場の移転に伴い「新アリーナ」の建設をめぐる一連の費用は、約36億円増えることになりました。

この市民団体が新アリーナ建設計画を巡って署名活動を行うのは、これが2回目。

去年は、住民投票の実施を市長に求めるために必要な有権者数の50分の1以上の署名が集まりましたが、議会に否決され実施には至りませんでした。

(住民投票の実現をめざす市民の会 佐藤清純共同代表)
「これだけ大事な問題ですから、市にはきちんと説明してほしいし、市民には是非中身を知っていただいて賛成反対含めて決めていただきたい」

「賑わい」を作りたい市と、「安全」を求める市民団体。

新アリーナ建設計画はどうなるか、署名活動は11月23日まで行われます。

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