不要アクリル板を展示棚に コロナ後、高岡の企業加工

不要なアクリル板を活用したショーケース=高岡市内

  ●地元施設で企画、県内職人の作品並べ発信

 高岡市の企業が、新型コロナウイルス禍を経て不要になったアクリル板を活用し、富山県内のものづくりを応援する取り組みに乗りだした。地域の飲食店や企業の感染対策で使われたパーティションをショーケースに加工してレンタルし、県内の職人やクリエイターらの作品を展示する試み。大勢の目に触れる観光、商業施設にショーケースを設置し、地元の担い手の魅力を広く発信する。

 プロジェクトは、総合商社「イセ」(高岡市佐野)のサブカルチャー部門で、市中心部でトレーディングカード専門店とフィギュア専門店を運営する高岡サブカルチャーズ(同市末広町)が手掛ける。

 コロナが落ち着き、飲食店や企業で感染対策のアクリル板が使われなくなり、倉庫に保管されていたものを回収。県内企業の協力で板をレーザーカットし、アルミフレームを取り付け、ショーケースに加工した。

 ショーケースは12月ごろから高岡駅やイオンモール高岡、道の駅万葉の里高岡に設置し、利用者にレンタルする。銅器着色や彫金、革製品、羊毛フェルトなどを手掛ける県内作家の作品展示を予定している。

 ショーケース表面に二つのQRコードを表示し、読み取ると作家紹介や作品への思いが書かれたページと、作品を購入できるサイトにそれぞれつながる。

 レンタルの収益は、レーザー加工機などデジタル技術を活用したものづくり教室の開催や、廃棄される非食用米を使ったバイオマスプラスチック「ライスレジン」のフィギュア開発などに活用する。

 同社はこれまで、脱プラスチックに向けて不要なパーティションをアクリルスタンドやカラーペレットなどに加工してきた。環境問題に取り組みながら、鋳物生産で栄えた高岡の産業を守るため、地元の作り手の個性やメッセージを発信し、人材が育つ町としてにぎわい創出につなげようと、プロジェクトを企画した。

 市のクラウドファンディング型ふるさと納税を活用した「クラウドファンディングたかおか」で、30日まで資金を募っている。

 高岡サブカルチャーズの伊勢豪範代表(46)は「伝統産業の職人や社会人クリエイター、学生ら地元の作り手の魅力を発信し、輝ける機会を増やしたい」と話した。

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