迫力満点!眼前に溶岩ドーム ヘリで島原半島遊覧 雲仙観光局、12月開始にむけ試験飛行【ルポ】

湾曲が美しい国崎半島=雲仙市南串山町

 眼前に迫る溶岩ドーム。くっきりと分かる海岸線-。ヘリコプターで島原半島を遊覧する「オオルリ天空飛行」は雲仙観光局が12月から始める観光プランだ。10日、40分間の試験飛行に体験搭乗した。
 「火山と共生する人々の生活や普賢岳、島原半島の魅力を世界中に発信したい」。同局のガイド、加藤奈保子さん(44)は事前説明で熱っぽく語った。

 発着点は雲仙市小浜町の交流拠点「雲仙BASE」。4人乗りヘリの座席に着き、ガイドと双方向で会話できるマイク付きヘッドホンを付けると、プロペラ音はほとんど聞こえない。機体がふわっと浮き、地上で手を振る関係者の姿が見る見るうちに小さくなった。
 飛び始めて3分で、平成新山(1483メートル)が迫ってきた。普賢岳の噴火でできた溶岩ドーム。火砕流の生々しい跡や立ち上る蒸気もはっきりと見える。迫力満点の大パノラマに気分が一気に高揚した。
 海沿いに細長く延びる足湯「ほっとふっと105」(同市小浜町)、湾曲した地形が美しい国崎半島(同市南串山町)…。見知った場所が眼下に次々と現れる。全国有数のジャガイモ畑は四角く区切られたパッチワークのよう。「火山活動で噴出した土で肥えている」と加藤さん。他の地域とは違う赤色や黄色の大地が広がっており、農作物が育ちやすいのだと改めて感じた。
 「雲仙火山の始まりと言われる場所」。加藤さんに促された方を向くと、約50万年前の黒い断層を含む龍石海岸(南島原市)があった。人類が誕生するはるか以前の火山活動によって、島原半島が形成されたことが伝わってきた。
 北上すると島原城が見えた。城を囲むように街が広がっている。西へ向かい高度を上げ、再び普賢岳山頂を見下ろす。雄大だ。何度噴火しても人々がこの場所を慕うのは、温泉や肥沃(ひよく)な土壌、湧水など自然の恵みがあるからだろう。島原、小浜、雲仙の3エリアにそれぞれに温泉があり、泉質も異なる。「島原半島の源は火山にある」と加藤さん。ここには火山の物語がある。長い年月に思いをはせ、その魅力を再発見した旅だった。
 ただ一つ残念なことに後半、少し具合が悪くなった。乗り物に酔いやすい人は対策が必要だ。

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