一日限りのレストラン 波佐見焼で地元食材味わう 国史跡の「畑ノ原窯跡」

階段状に連なる窯跡に設けられたテーブルで鍋料理を味わう参加者=波佐見町、畑ノ原窯跡

 長崎県東彼波佐見町村木郷の国史跡「畑ノ原窯跡」で21日、一日限りの「畑の原のぼり窯レストラン」が開かれた。参加者は波佐見最古の磁器が出土した窯跡の上で、波佐見焼の器に盛られた地元食材を味わった。
 400年以上前から庶民の食卓を彩り続けた波佐見焼の職人、工場、景観、歴史に触れる「クラフト・ツーリズム」として同町の窯元「高山」などが企画した。観光庁がインバウンド(訪日客)の本格的回復に向け、新たな観光プログラムの創出を支援する「観光再始動事業」の一環。
 国内で磁器製造が始まった頃の登り窯で、24室の窯が階段状に連なる全長約55メートル。1610年代ごろから磁器を製造した。1993年に4室の窯が復元され、2000年に国史跡に指定された。
 窯跡にテーブルが階段状に設けられ、ランチとディナーに各20人が来場。福岡のシェフによる長崎和牛の鍋料理や、波佐見焼の廃石こう型をリサイクルした肥料で育てた米を使ったグラタン、デザートに舌鼓を打った。町立波佐見中と県立波佐見高の中高連携文化体験で、器を焼くためにまきをくべる「窯たき」もあり、参加者はまきがはぜる音や窯の熱も体感した。
 福岡市から友人と訪れた女性は「料理も雰囲気にも満足。出された器を欲しくなった。また参加したい」と笑顔を見せた。

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