同僚医師のID使い、自身の薬を5年にわたり不正取得「忙しそうなので診察してほしいと言い出せず」 兵庫県立病院看護師を懲戒免職処分

兵庫県立西宮病院=西宮市六湛寺町

 兵庫県は26日、同僚の男性医師のIDとパスワードを使って処方箋を発行し、自身が使う薬を不正に取得したとして、県立西宮病院(西宮市)の女性看護師(45)を懲戒免職処分にしたと発表した。無断使用を黙認した男性医師(47)は減給10分の1(6カ月)、院長ら管理職員4人は戒告処分とした。

 県病院局によると、看護師は2018年1月~23年1月に計22回、同病院の電子カルテに男性医師のIDとパスを入力し、自分で使う皮膚用の塗り薬や飲み薬の処方箋を発行。調剤薬局に提出して薬を購入したという。同年2月、不正入力しているところを同僚職員が目撃し、発覚した。

 看護師は03年から、医師は07年から同病院に勤務。処方箋を発行できるのは医師だけだが、夜間など緊急時のためにIDとパスを共有していた。看護師は15年ごろから業務の合間に同医師の診察を受けて薬の処方を受けていたが、「医師が忙しそうなので診察してほしいと言い出せず、安易に自分で入力してしまった」と話しているという。

 同病院局は、公文書偽造や同行使の疑いで看護師を刑事告発する方針。再発防止のため、ID管理の徹底やICカードを併用した2段階の本人認証などでセキュリティー強化を図っていくという。(金 慶順)

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