神戸市、危険な盛り土の撤去に着手 8月の台風で近隣住民に避難指示 北区で行政代執行

盛り土の前に立ち入り禁止の看板などを設置する作業員=神戸市北区有野町有野

 神戸市北区有野町有野の山中にある採石場の条例に反する盛り土について神戸市は26日、流出の恐れがある一部の土砂を撤去する行政代執行に着手した。来年3月までに完了する見通しだが、残った土砂も大雨が降れば周辺住宅を巻き込む災害に発展しかねない。市は引き続き造成業者に対策を求める。

 市によると、地元の砕石業者「北神砕石」が2009年に市の許可を受け、建設残土の搬入を開始。市は21年7月のパトロールで計画よりも急勾配で土が盛られているなどとし、是正指導を行ってきた。

 今年の調査で盛り土が約48万立方メートルあり、計画量の1.6倍に及ぶことを確認。大雨を想定したシミュレーションでは約2.3万立方メートル分が流れ出す危険性があり、8月の台風7号では付近の68世帯109人に避難指示を出した。また7、8月には土砂条例に基づく措置命令を出し、撤去などを要請したが改善されず、代執行に踏み切った。

 この日、市環境保全課の森本隆夫課長(49)が代執行の開始を宣言し、撤去の施工業者が看板やバリケードを設置した。今後約1万立方メートルと周辺の0.3万立方メートルを取り除き、北神砕石に撤去費用約1億8千万円を請求。残った1.3万立方メートルの安全対策として鋼製のネットを張ることを求める予定。森本課長は「住民が不安を抱えており、安全かつ迅速に撤去したい」と話した。(門田晋一)

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