ダカールラリー2連覇王者がトヨタを離脱。アル-アティヤ、2024年はプロドライブ・ハンターで参戦

 プロドライブは10月26日、ダカールラリー王者にしてW2RC世界ラリーレイド選手権チャンピオンのナッサー・アル-アティヤが、自身6度目のダカール制覇を目指しイギリスのレーシング・コンストラクターに参加することを発表した。

 このアナウンスは、ダカールラリーで通算5勝を挙げ2022年と23年の直近2大会ではTOYOTA GAZOO Racingとともに連覇を果たしているカタール出身のドライバーが、日本メーカーと袂を分かつことを意味する。

 クレー射撃のオリンピック・メダリストでもある52歳の“砂漠の王”は、今月14日から行われたW2RC最終戦ラリー・モロッコを総合19位で完走し、前年に続きシリーズチャンピオンを獲得。同シリーズの開幕イベントであるダカールラリーでも『GRダカールハイラックスT1+』を駆り2連覇を飾っている。

 そんなアル-アティヤが、ふたたびアウジアラビアでの開催となる2024年1月のダカールラリーに向けて動いた。驚くべきことにチャンピオンチームであるTGRを離れ、相棒のマシュー・ボーメルとともに自身の名を冠するナッサー・レーシングのバナーのもとで“世界一過酷”なラリーに挑戦するという。

 彼らが来年乗り込むマシンは、名門プロドライブが開発した『ハンターT1+』だ。このマシンはセバスチャン・ローブのドライブで、大会新記録となった“6ステージ連続ベスト”を含めダカールラリー2023の全14ステージ中、9つのステージでベストタイムを刻み総合でも2位となった。また2022年にはラリー・モロッコで総合優勝を達成している。

 プロドライブにとって創設40周年の節目となる2024年のダカールに登場するハンターT1+は“チャンピオンコンビ”のマシンだけではない。ローブ/ファビアン・ルルカン組を擁する“BRX”ことバーレーン・レイド・エクストリームも引き続きプロドライブの運営でダカールに復帰し、さらに5台のハンターT1+がブラジルのXラリーと中国のユンシャン・チームから参戦する予定であり、その数は7台に上る。

プロドライブ・ハンターT1+で2024年のダカールラリーに参戦するナッサー・アル-アティヤ/マシュー・ボーメル組

 ダカールラリーへの準備の一環として、アル-アティヤとボーメルは今週26日から28日にかけて開催されるバハ・ポルタレグレ500に参戦する。彼らはさらに11月10~12日にはドバイ・インターナショナル・バハにも出場し、プロドライブのマシンでのマイレージを稼ぐ予定だ。

「この3年間、チームがハンターを現在の位置に押し上げるため懸命に努力してきたことを見てきただけに、プロドライブに参加することは特別な気分だ」と語ったアル-アティヤ。

「マシュー(・ボメール)とともにプロドライブに加わることができて本当にうれしく思っている。ラリーレイドではこれまで3つの異なるメーカーで優勝してきたが、4台目のマシンで勝つことは僕たちにとって大きな目標だ。この挑戦を本当に楽しみにしているよ」

 プロドライブのデビッド・リチャーズ会長もまた、W2RCチャンピオンとの仕事を楽しみにしている。

「現ラリーレイド世界チャンピオンであるナッサー(・アル-アティヤ)とマシュー(・ボメール)が2024年シーズンにプロドライブ・ハンターで参戦することは、我々にとって素晴らしいニュースだ」

「来年1月のダカールに向け、ふたりと緊密に仕事をすることを楽しみにしている。ナッサーの成功は数多くのタイトルを獲得している彼自身のキャリアが物語っており、このペアがハンターで力強い走りを見せてくれると確信している」

ナッサー・アル-アティヤ(右)とコドライバーのマシュー・ボーメル(左)
ナッサー・レーシングのプロドライブ・ハンターT1+

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