「急いでお金を借りたい」あわてた様子の女性に銀行員がとっさの判断「1人でも救えたことがうれしい」広島

カウンター越しに目が合って、すぐに駆けつけた―。

9月19日、広島銀行・仁保支店に勤務する 木野本実優 さんは、来店した70代の女性の様子に違和感を感じました。女性は順番待ちの番号札をとることなく、あわてた様子で行員を探していたのです。

「詐欺などに巻き込まれているのでは」―。

接客窓口の奥にいた木野本さんですが、とっさに女性に駆け寄り、声をかけました。「急いでお金を借りたい」と訴える女性を落ち着かせ、詳しく話を聞いたところ、女性は「プレゼントとして2億5000万円を受け取るために、ポイントを購入しなければいけない。ポイントを購入するためにお金を借りたい」と話したということです。

特殊詐欺の可能性を強く感じた木野本さんは、上司の 井上律子 さんと協力。お金の借り受けを引きとめたうえで、警察に通報しました。

その後の警察の調べで、女性は高額当選をかたるSNSアカウントから架空料金を請求されていたことが判明したということです。

広島南署は26日、詐欺被害を未然に防いだとして木野本さんと井上さんに感謝状を贈呈しました。

若林栄児 署長から感謝状を受け取った木野本さんは、「詐欺被害などでお金を抜き取られてしまう人も多いので、1人でも救えたことがうれしかった」と振り返りました。特殊詐欺被害を防いだのは初めてだという木野本さん。「これからも積極的に話を聞くよう意識していきたい」と話しました。

警察によりますと、広島県内でのことし9月末までの特殊詐欺の被害総額はおよそ6億4000万円。そのうち、金融機関の職員などによっておよそ9400万円の被害が水際で阻止されているということです。

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