ケアラー調査

 弟や妹を連れている姿をたまたま見かけたクラスメートが、教室で会う時よりも何だか数段しっかりして見えた日のことを、そういえば…と少し懐かしく思い出した。そっか、お兄ちゃん、お姉ちゃんなんだね▲家族や親族など身近な人の介護や世話を日常的に受け持つ「ケアラー」に関する県の調査結果の記事が昨日の紙面にあった。小6、中2、高2の2万3663人への質問で934人が「世話をしている家族がいる」と答えたそうだ▲単純に割り算すると、25.3人に1人。クラスに1人ぐらいの人数だ。世話をしている対象で最も多かったのは「きょうだい」で「祖母」「母」の回答もあったという▲家族の関係の中で、責任感や使命感が育まれることを一概に悪いとは言わない。ただ、たとえば「姉・兄だから」のように自分では選べない事情を理由に、子どもが極端な我慢を強いられ、重い役割を背負わされるのはおかしい▲子どもたちにとっては「自分の家の決まり事」がスタンダードだ。子ども自身は、自分の置かれた立場や環境への客観的な疑問を感じにくい可能性がある。これがフツーだもん▲子ども時代は誰にも一度きりで、しかも瞬く間に過ぎていく。大切なのはスピードだ。啓発も相談も支援も、大急ぎで広げたい。欲張りに進めたい。(智)

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