「国際賢人会議」12月に開催 被爆者や専門家ら 実相に触れ、核廃絶への道筋を

 岸田文雄首相が26日の参院本会議で、核兵器のない世界に向けた「国際賢人会議」の第3回会合を12月に長崎で開くと表明したことを受け、県内の被爆者や専門家らは、各国委員が被爆の実相に触れる機会をつくり、核兵器廃絶への具体的道筋を示すよう求めた。
 昨年広島市で開かれた初会合で、委員と意見交換した長崎原爆の被爆者2人のうち、非政府組織(NGO)核兵器廃絶地球市民集会ナガサキの朝長万左男実行委員長(80)は「日本政府は核兵器禁止条約への加盟と核廃絶に向けた積極的なリーダーシップの発揮を」と期待。一方、日本原水爆被害者団体協議会の木戸季市事務局長(83)は「岸田首相が核兵器禁止条約に背を向け、米国の核抑止力に頼る以上は期待が持てない」と成果に懐疑的。それでも「委員は原爆資料館を訪れ、核が人間に何をもたらしたか見てほしい」と語った。
 長崎大核兵器廃絶研究センターの吉田文彦センター長は、岸田首相が2022年1月に国際賢人会議の設立を表明後、ロシアのウクライナ侵攻や米ロ関係悪化などで核情勢は大きく変わったと指摘。「何を目指して被爆地で議論するのか、改めて目的を明確に示すべき。市民社会の意見も聞き議論経過を可能な限り公開してほしい」と述べた。
 鈴木史朗長崎市長は報道陣の取材に「核軍縮・廃絶のキーパーソンが長崎で被爆の実相に触れる貴重な機会。原爆資料館訪問や被爆者との面会の機会を国に提案したい」と述べた。大石賢吾知事は「核兵器廃絶へ具体的な道筋を提示していただくことを期待する」とコメントを発表した。

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