地図アプリで遭難防げ 県警とヤマップが協定 迅速な山岳救助へ

登山届協定を結んだ県警の早藤地域部長(右)とヤマップの矢島さん=26日午後、県警本部

 地図アプリと連携して登山者情報を山岳遭難事故の防止や救助に役立てようと、県警地域課は26日、登山地図アプリを運営する「ヤマップ」(福岡市)と登山届協定を締結した。登山者がアプリで作った登山届や位置情報などを県警と共有でき、遭難者の迅速な救助も期待される。同様の協定は各地の警察で結ばれており、県警は20府県目となった。

 同社によると、今回の協定に伴い、アプリ内で登山計画を作成すると、そのまま登山届として県警に提出できるようになった。また携帯電話の電波が届かない山中でも、衛星利用測位システム(GPS)を使って、アプリ上に現在地と登山ルートが表示される。遭難事故が発生した場合は、県警が速やかに要救助者の現在地を把握できるという。

 県警によると、県内の2022年の山岳遭難事故は86件、94人で死者は8人。今年は10月7日、那須町湯本の朝日岳の登山道付近で、男女4人が遺体で見つかる遭難事故が発生した。死者は既に昨年を上回り、9人となっている。

 県警の早藤晴樹(はやふじはるき)地域部長は「登山者にとって非常に有益なアプリ。遭難事故が発生した場合には迅速な救助につなげたい」と強調。ヤマップ遭難ZEROプロジェクトリーダーの矢島夕紀子(やじまゆきこ)さんは「栃木の山の魅力を発信しつつ県警と連携を深め、安全登山を啓発していきたい」と語った。

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