LRT開業2カ月 視察、本年度既に100件超 開業後急増、海外からも関心

全国不動産会議の視察研修で、宇都宮駅東口停留場からLRTに試乗する人たち

 次世代型路面電車(LRT)の宇都宮芳賀ライトレール線の開業から2カ月、全国から視察が相次いでいる。本年度は26日までに既に105件を受け入れており、今後の予定も含めると計193件に上る。現在も申し込みが舞い込んでおり、昨年度の100件を大幅に超える見通しだ。宇都宮市は「LRT施策を知ってもらうだけでなく、市の観光などをアピールする絶好の機会」と歓迎している。

 19日午後のJR宇都宮駅東口の宇都宮駅東口停留場。ライトキューブ宇都宮から出てきたスーツ姿の人たちでホームがいっぱいになった。

 一行は同所で開かれた全国不動産会議栃木県大会に出席した不動産関係者約1200人。閉会後、数本のLRTに分乗し、沿線の街並みを視察した。

 長野県松本市内で不動産会社を営む花岡清江(はなおかきよえ)さん(70)は沿線で進むマンション建設を挙げ、「車窓から街が活気づいている様子が見えた」と話した。

 視察対応を担当する市LRT協働広報室によると、市担当者がLRT事業について説明した後、実際に乗車し、車両基地やトランジットセンターを見学するケースが多いという。

 訪れるのは全国の自治体や鉄道運行会社、業界団体、大学の研究室などさまざま。韓国メディアやアフリカのウガンダなど海外勢も含まれる。規模も数人から千人単位まで幅広い。

 特に開業翌日の8月27日から今月26日までは58件を受け入れ、「ほぼ毎日視察対応がある状態」(同室)。新型コロナウイルス感染拡大前の2019年度は20件だったことからも、本年度の急増ぶりが分かる。

 同室の安保雅仁(あんぼまさひと)室長は「国の支援を得て実現したLRT。第二の宇都宮が誕生してほしいと願って案内している」と述べ、「観光情報も併せて提供している。視察後の市内周遊など地域経済の活性化につながってほしい」と期待を寄せた。

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