「あしなが募金」資金不足で遺児らに奨学金行き渡らず 物価高で苦境深まる

奨学金を必要とする子どもたちへの寄付を呼びかける学生たち(草津市渋川1丁目・JR草津駅前)

 あしなが育英会から奨学金を受けている大学生たちがこのほど、滋賀県草津市渋川1丁目のJR草津駅前で募金活動を行った。病気や自殺などで親を亡くした遺児や、障害があるなどの事情で働けない保護者を持つ子どもたちの進学支援を呼びかけた。

 あしなが育英会によると、2023年度の高校奨学金申請者(全国)は、制度変更などもあり1988年の制度開始以来最多の2629人だった。

 一方で申請者の急増で資金が追いつかず、55%にあたる1461人が奨学金を受けられなかった。県内でも32人中16人は断らざるを得なかったという。

 募金活動は、毎年春と秋に実施しており、この日は県内に住む18人が参加。学生たちは「度重なる物価上昇により遺児家庭の経済状況は厳しくなっており、奨学金の必要性はさらに高まっています」「遺児たちを応援する『あしながさん』になりませんか」などと呼びかけると、市民らが募金に応じていた。

 立命館大2年生の女子学生(19)=草津市=は「活動を通して、遺児家庭の現状を多くの人に知ってほしい。奨学金が受けられない子どもたちがいる現状を変えていけたら」としている。

 街頭募金は28、29日にもJR草津駅前で正午~午後6時に行われる。

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