リアルでもeスポーツでも “二刀流”レーサー 宮田莉朋選手(24) スーパーフォーミュラ最終戦に参戦

近年盛んなeスポーツをプレイする日本の若者に、いま世界が注目しています。

自宅でレースゲームに熱中。家庭用ゲームというのにはやけに大げさな機械に見えますが…

Q.これは全部でいくらぐらいするんですか?
(宮田莉朋選手)
「僕と全く一緒のものを揃えるとしたら、170万ぐらいします」

こんな高額な機械でゲームをしているこの人、実は、スーパーフォーミュラのレーシングドライバーとして活躍している宮田莉朋(みやた りとも)選手(24)です。

2023スーパーフォーミュラ個人ランキング1位の「リアルレーサー」

宮田選手が参戦しているスーパーフォーミュラというカテゴリーは、国内最高峰のレースで、最速300キロを超え、体に掛かる圧力は体重の5倍ともいわれています。

その国内最高峰の舞台で活躍する宮田選手は、現在7戦を終えて優勝2回、個人順位では2位に8ポイント差を付けて、トップの位置につけています。

このスーパーフォーミュラは全てのドライバーが同じ車体を使用するので、ドライバーの腕がレース結果に直結しやすい。しかし、モータースポーツは、サーキットでの練習が困難なため、ほかの競技と比べて圧倒的に練習の機会が少ないスポーツ…そのため。

(スーパーフォーミュラ 宮田莉朋選手)
「こういうシミュレーターでドライビングスキルを上げたり、車の作り方を勉強したりというのはもう今では当たり前のこと」

しかし、ただ練習しているだけでなく、宮田選手が使用しているゲームはネットで世界中と繋がっていて、約22万人のユーザーがプレイしています。その戦績は個人別に随時数値化され、宮田選手は最高で世界ランキング10位。ヨーロッパのeスポーツ関係者も一目置く存在。いわば二刀流レーサーなんです。

幼児期に自閉症と診断「僕にとってはそれがある意味プラスに…」

(スーパーフォーミュラ 宮田莉朋選手)
「海外ではいっぱいいるので、二刀流(レーサー)というのは。日本ではそんなにいないから、二刀流という言葉が流行っているというのもあるんでしょうけれども。それぐらい今は最先端というか、理解しているドライバーということで一歩先へ行ける」

宮田選手は幼児期に自閉症と診断されます。周りに馴染めなかったという宮田選手は、両親の勧めで4歳のときモータースポーツに出会い、カートを始めます。

(スーパーフォーミュラ 宮田莉朋選手)
「正直自閉症というものが、どういうものなのかを僕は理解していなかった。この“一点集中”というか、『これ』って決めたものは、やり遂げるまで絶対力を注ぐという感じ。周りからは『それ自閉症だからでしょう?』というような感じなので、じゃあ僕にとってはそれがある意味プラスになっている」

その言葉通り、才能が一気に開花。日本選手権など数々のタイトルを獲得します。
しかし、モータースポーツにもコロナの波が押し寄せ、大会が開催されない期間がありました…そんなときにeスポーツの世界にはまっていきます。

「息抜きだと思っている」ゲームでも世界ランキング10位の“二刀流”

(スーパーフォーミュラ 宮田莉朋選手)
「実車に乗れない期間が半年くらいあったので、そのときにシミュレーターを毎日やっていたので、再開されて乗ったときは問題なくレースに臨めた」

「リアルレーサー」と「バーチャルレーサー」で活躍する、二刀流の宮田選手の息抜きタイムは。

(スーパーフォーミュラ 宮田莉朋選手)
「これ(ゲーム)が息抜きだと僕は思っているので…」

「息抜き」のゲームで世界ランキング10位…只者ではありません。

その宮田選手も出場する、スーパーフォーミュラの最終戦が、10月28日と29日に鈴鹿サーキットで開催されます。

(スーパーフォーミュラ 宮田莉朋選手)
「スーパーフォーミュラはF1に匹敵する速さで、そういう部分で本当にハイレベルな戦いを毎戦しているので、レース展開としてはすごく面白いので、是非そういったところをサーキットに足を運んで見てほしい」

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