「うぉあああああっ!」暗闇から突然 動物が…運転中の事故どう対処すればいいの?天然記念物の場合は書類が必要!?

「うぉあああああっ!ゴンッ」
真っ暗な道路に、鈍い音が響きました。9月のある日の夜、浜松市から静岡県湖西市へ取材に向かうため、カメラマンのわたしが車を運転していると、突然横から飛び出してきた小動物をはねてしまったのです。

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大きな衝撃音と動物をはねたという初めての出来事に動揺しながら、慌てて路肩に車を止め、現場を確認すると、1体のハクビシンのような動物が頭から血を流し、横たわっていました。

「いったいどうすればいいのか」

運転中に、車が動物とぶつかる―
わたしのような経験をされた方もいらっしゃるかもしれません。もし、事故を起こしてしまったとき、どのように対応するのが望ましいのでしょうか。

その場で調べてみると…

スマホで対応方法を調べていると、「警察に通報する」という情報が多く見つかりました。急いで、地域を管轄している警察署に電話をかけると、事故を起こした場所を聞かれ、10分ほどで暗闇の先からパトカーの赤色灯が見えてきました。

「そこの動物がいるところですかね」
駆けつけてくれたのは、2人の警察官。1人は現場を丁寧に確認、もう1人の署員は、わたしの運転免許証や自賠責保険の書類などを確認し、事故をまとめた書類を作っていました。

事故を起こした車に、衝突した跡は見つからなかったものの、「物件事故」として処理をするということ。交通違反の対象にはなりませんでした。あらためて、こういった場合、どう対処すればよいのでしょうか。警察に聞いてみると…

「人身事故」と「物件事故」

静岡県警交通企画課によると、もしも、動物と衝突した場合、まずは、警察へ通報し、警察官の指示にしたがって、自分自身の安全や後続車への二次被害を防ぐことが第一だといいます。

動物との衝突事故を起こした場合、運転者や同乗者など、車やオートバイに乗っていた人がけがをしていれば「人身事故」、けがをしていなければ「物件事故」として扱うというのです。

ただ、いずれの場合も、事故の申告が必要で、通報を怠った場合は道路交通法に定められる報告義務違反にあたり、3か月以下の懲役、または5万円以下の罰金に処せられることになります。

では、はねてしまった動物がペットだった場合はどうなるのでしょうか。

イヌやネコをはじめ、あんな動物も対象に⁉

この場合も法律上、動物は「物」として扱われるため、野生動物同様「物件事故」として扱われることになります。

浜松市動物愛護センターに聞くと、けがをしたイヌやネコの通報を受けたときは、収容後、状態によっては、動物愛護センター、または動物病院が応急手当をするといいます。

その後、狂犬病予防法で装着が義務づけられている首輪につけられた「鑑札」や「注射済票」、装着されたマイクロチップなどの記録をもとに飼い主を特定していくとのことです。

実はイヌやネコ以外にも、ペットとして飼われている可能性が高いウサギ、ニワトリ、ハト、アヒルも同様ですが、それ以外の生き物は、野生動物の生態系にむやみに関与することになるとして、極力応急手当などはしないとのこと。

また、動物が死んでいた場合には、各自治体の「連絡ごみ受付センター」を案内しているそうです。なお、ペットが事故でけがをしたり、死んでしまった場合、飼い主から民事上の損害賠償請求をされる場合があり得るのでご注意ください。

さらに気になるのが、はねて死んでしまった動物が、カモシカやニホンザルなどの国の天然記念物だった場合です。

「滅失届」を提出⁉

静岡県文化財課によりますと、これもきちんと警察に通報すれば、罰則などはないとのこと。警察の手続きなど終わり、行政が動物の死がいを処理する際に、天然記念物や特別天然記念物だとわかったときには、「滅失届」を県に提出し、その後文化庁へ報告されるそうです。

では、動物との事故を避けるためにどうすればいいのでしょうか。警察によりますと、走行は基本的に「ハイビーム」。対向車がいるときなど「ロービーム」とこまめに切り替えをしてほしいとのこと。冬場にかけては日が暮れる前に、早めの点灯を呼びかけています。

日頃、運転をしていると動物がはねられたまま、放置されている様子を目にすることがあります。ドライバーが道路交通法を守ることは言うまでもありませんが、不幸にも事故で死んだ動物を見て見ぬふりして、過ぎ去ってしまうことは避けたいものです。

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