トヨタのロバンペラがデイ2首位。WRC連覇に前進「集中力を切らさず、ミスをしないように」/第12戦CER

 10月27日、WRC世界ラリー選手権第12戦『セントラル・ヨーロピアン・ラリー(CER)』のデイ2が、ドイツのパッサウを起点に行われ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が総合トップに浮上した。

 選手権リーダーであるロバンペラを31ポイント差で追いかけるランキング2位のエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)は総合3番手に。セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(トヨタGRヤリス・ラリー1)は総合6番手でデイ2を終えた。また、TGR WRCチャレンジプログラムにより4台目のトヨタGRヤリス・ラリー1で今大会に出場している勝田貴元/アーロン・ジョンストン組は、総合5番手につけている。

 前日26日(木)にチェコの首都プラハで開幕し、ふたつのスーパーSSが行われたCERは、競技2日目となる27日(金)もチェコ国内のステージが戦いの場に。選手たちはパッサウに置かれたサービスパークから国境を越えてチェコに入り、3本のステージをタイヤフィッティングゾーンを挟んで各2回走行するデイ2に臨んだ。

 ステージ合計距離が121.80kmと今大会最長の一日となった金曜日のデイ2は、前夜から降り続く雨の影響で路面がウエットに。濡れて非常に滑りやすくなった路面で速さを示したのは“最年少王者”ロバンペラだった。タイトル防衛を目指す23歳のフライング・フィンは、午前中の3本のステージすべてベストタイムを刻み、2本目のSS4で総合トップに浮上すると、続くSS5が終了した時点で総合2番手に順位を上げていたエバンスに29.2秒のギャップを築いてみせた。

 午後のSS6ではエバンスが反撃のステージウインを記録するも、SS7ではロバンペラがこの日4度目のベストタイムを記録。最後まで好調を維持した現チャンピオンは後続に36.4秒の大差をつけてデイ2を走破している。一方のエバンスはSS8でティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)に逆転を許し3番手に後退。2番手とのタイム差は10.8秒だ。

総合3番手につけているエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2023年WRC第12戦セントラル・ヨーロピアン・ラリー

 デイ2の結果に「満足している」と語ったロバンペラは、出走順が1番手から後方に変わる3日目の戦いに向け、集中力を切らさないようにしたいと述べた。

「明日は出走順がラリー1の中で最後になるので、もしふたたびウェットコンディションになったら大きなチャレンジになるだろう。集中力を切らさず、ミスをしないように走らなければならない」

 デイ1で陣営最上位の総合3番手につけていたオジエは、今朝のオープニングのSS3でホイールにダメージを負い約40秒のタイムロス。この影響で総合10番手まで順位を落としたが、スペアタイヤがない状況下に加えて体調も芳しくないなか、総合6番手まで順位を挽回してみせた。ハイブリッドシステムに問題を抱えるなど、万全の状態ではないながいらも総合5番手に順位を上げた勝田とのタイム差は9.1秒だ。

 TGR-WRTのヤリ-マティ・ラトバラは、総合トップに浮上したロバンペラの走りを「素晴らしい」と称賛した。

「今日、ドライバーたちは非常に難しいコンディションに直面した。新しいステージは路面やグリップレベルが次々と変わり、路面には泥や水溜まりが多くあった。そのような状況でグリップを得るためには限界までプッシュする必要があるのだが、それこそカッレ(・ロバンペラ)の得意とするところで、今日の走りは本当に素晴らしいものだった」とラトバラ。

「しかし、エルフィン(・エバンス)もミスのない安定したドライビングだったし、彼もまたいい仕事をしたと思う。カッレに何かが起きれば、チャンピオンのチャンスが巡ってくることをエルフィンは知っている。とてもクレバーな戦いかただ。トップ3に2台が入っていることを、我々は本当に喜ぶべきだろう」

「セブ(セバスチャン・オジエ)にとっては、優勝するチャンスがほぼなくなったとわかった時点で厳しい戦いになってしまったが、彼にとっては午後のステージのほうが良かったと思う。また、(勝田)貴元は厳しいコンディションのなかでいい仕事をしてくれた」

 28日(土)の競技3日目は、ドイツ南東部の都市パッサウに設置されているサービスパークを中心に、午前中はオーストリアで2本、ドイツで1本のステージが行われる。午後はミッドデイサービスを経て同じステージをふたたび走る予定だ。計6本のステージの合計距離は109.50km、リエゾン(移動区間)を含めた一日の総走行距離は571.68kmとなっている。

セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2023年WRC第12戦セントラル・ヨーロピアン・ラリー
勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2023年WRC第12戦セントラル・ヨーロピアン・ラリー

© 株式会社三栄