食欲の秋 野菜高値 トマトやネギ 猛暑で品薄 青森県内スーパー 販売に工夫も

青森市内のスーパーの野菜売り場。通常品のほか加工用を割安で販売し客が手に取りやすくするなど、仕入れも工夫している(価格は全て27日時点)

 トマトやネギ、ニンジンなど食卓でおなじみの一部の野菜の青森県内卸売価格が、平年より割高傾向となっている。今夏の全国的な猛暑が各産地の出荷時期に影響し、一時的な品薄状態になっていたことが原因。現在は価格が落ち着きつつあるが、県内のスーパーや消費者は、販売方法、食事の準備に工夫を凝らしながら対応している。

 青森市中央卸売市場における指定野菜14種の10月の平均卸売価格(全等階級平均値)は、26日時点で平年比45%高の1キロ当たり120円。このうち、24日時点でトマトは946円(平年比86%高)、ニンジンは172円(同99%高)、ネギは551円で平年の2倍となった。

 同市の青森合同青果(篠崎真孝社長)によると、記録的な猛暑などにより、6~10月が最盛期の青森県など先行産地の出荷が通常より早く終了。一方、後続となる関東以西の産地の出荷が出遅れたことで“産地のリレー”が機能せず、品薄で高値基調となった。篠崎社長は「(秋野菜が出回る)10月は、もともと1年で最も卸売価格が安い。10月の上昇率は平年より高騰しているが、年間を通して見ると決して突出した高値ではない」と説明する。

 同市の「スーパー福や大野店」で青果売り場を担当する畑内留作さんは「数十年この仕事をしてきて、これほど野菜が全体的に高くなるのは初めて」と驚きを隠せない。同店では、通常品のほかに、加工用の野菜や果物を仕入れて安値で販売。仕入れる問屋を増やすなどして、客が手に取りやすい商品を販売する努力もしている。

 買い物に訪れていた同市の40代パート女性は「本当はトマトを弁当に使いたいけれど、別の野菜で工夫するしかない」と陳列棚を吟味。市内の主婦佐々木洋子さんは「高くても必要な野菜はあるし、高い分味わって食べないと」と話した。

 今後の見通しについて篠崎社長は「後続産地の出荷が本格化すれば品薄は徐々に解消され、卸売価格は緩やかに下がってくる。平年並みまで相場が沈静化するのは12月ごろ」と見込む。

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