10月26日(木)から10月29日(日)にかけて、ドイツ南東部の都市パッサウを中心にWRC世界ラリー選手権第12戦『セントラル・ヨーロピアン・ラリー(CER)』が開催され、ヒョンデ・シェル・モビスWRTのティエリー・ヌービル/マルティン・ウィダグ組(ヒョンデi20 Nラリー1)がシーズン2勝目をマークした。
ドイツと隣国のオーストリア、さらにWRC初開催となるチェコを含めた史上初の3カ国開催イベントとして実施された今大会は、前戦『ラリー・チリ・ビオビオ』でTOYOTA GAZOO Racing WRTがマニュファクチャラーズタイトルを決めた後、残るふたつのタイトル争いが焦点となった。
主役はトヨタのレギュラークルーふた組。現王者カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネンのフィンランド人ペアと、チームメイトを追いかけるエルフィン・エバンス/スコット・マーティンのペアだ。とはいえ両者のポイント差は残り2戦となった段階で31ポイントと大きく、後者がこのCERでチャンピオンコンビを上回るポイントを獲得できなければ、その時点でロバンペラ組のタイトルが決定する、という条件面では非常に厳しい立場に置かれていた。
それ故に攻めるしかなかったエバンスは、デイ3のSS11で濡れた路面に足元を掬われクラッシュを喫する。これにより彼は再出走したうえで、翌日の最終日にロバンペラがリタイアとならない限り“終戦”となる状況に追い込まれた。反対にロバンペラにしてみれば余裕が生まれ、リスクを負う必要が皆無に。
直前のSS10で総合首位に立っていたロバンペラは実際にペースを落とし総合2番手にポジションを下げると、デイ4も順位を維持してフィニッシュし、22歳での史上最年少チャンピオン獲得に続きシリーズ最年少での2連覇を達成した。コドライバーズタイトルは相棒のハルットゥネンが獲得している。
WRC第12戦セントラル・ヨーロピアン・ラリー後の各選手権ランキングは以下のとおりだ。
■2023年WRCドライバー選手権ランキング(第12戦終了時点)
Pos Driver Machine Team Points
1 カッレ・ロバンペラ トヨタGRヤリス・ラリー1 トヨタ・ガズー・レーシングWRT 235
2 エルフィン・エバンス トヨタGRヤリス・ラリー1 トヨタ・ガズー・レーシングWRT 191
3 ティエリー・ヌービル ヒョンデi20 Nラリー1 ヒョンデ・シェル・モビスWRT 184
4 オット・タナク フォード・プーマ・ラリー1 Mスポーツ・フォードWRT 162
5 セバスチャン・オジエ トヨタGRヤリス・ラリー1 トヨタ・ガズー・レーシングWRT 114
6 エサペッカ・ラッピ ヒョンデi20 Nラリー1 ヒョンデ・シェル・モビスWRT 98
7 勝田貴元 トヨタGRヤリス・ラリー1 トヨタ・ガズー・レーシングWRT 89
8 ダニ・ソルド ヒョンデi20 Nラリー1 ヒョンデ・シェル・モビスWRT 63
9 テーム・スニネン ヒョンデi20 Nラリー1 ヒョンデ・シェル・モビスWRT 42
10 オリバー・ソルベルグ シュコダ・ファビアRSラリー2 ―― 33
■2023年WRCコドライバー選手権ランキング(第12戦終了時点)
Pos Co-Driver Machine Team Points
1 ヨンネ・ハルットゥネン トヨタGRヤリス・ラリー1 トヨタ・ガズー・レーシングWRT 235
2 スコット・マーティン トヨタGRヤリス・ラリー1 トヨタ・ガズー・レーシングWRT 191
3 マルティン・ウィダグ ヒョンデi20 Nラリー1 ヒョンデ・シェル・モビスWRT 184
4 マルティン・ヤルヴェオヤ フォード・プーマ・ラリー1 Mスポーツ・フォードWRT 162
5 ヴァンサン・ランデ トヨタGRヤリス・ラリー1 トヨタ・ガズー・レーシングWRT 114
6 ヤンネ・フェルム ヒョンデi20 Nラリー1 ヒョンデ・シェル・モビスWRT 98
7 アーロン・ジョンストン トヨタGRヤリス・ラリー1 トヨタ・ガズー・レーシングWRT 89
8 カンディード・カレラ ヒョンデi20 Nラリー1 ヒョンデ・シェル・モビスWRT 63
9 ミッコ・マルックラ ヒョンデi20 Nラリー1 ヒョンデ・シェル・モビスWRT 42
10 エリオット・エドモンドソン シュコダ・ファビアRSラリー2 ―― 33
■2023年WRCマニュファクチャラー選手権ランキング(第12戦終了時点)
Pos Manufacturer Machine Points
1 トヨタ・ガズー・レーシングWRT トヨタGRヤリス・ラリー1 504
2 ヒョンデ・シェル・モビスWRT ヒョンデi20 Nラリー1 399
3 Mスポーツ・フォードWRT フォード・プーマ・ラリー1 271