60店舗超、街中にぎわう 越中大手市場、富山でトランジットモール

路面電車が走るトランジットモールの会場=富山市大手町

 富山市の大手モールで29日、歩行者と路面電車のみが通行できる「トランジットモール」(富山新聞社特別協力)の社会実験が行われた。今年度2回目の試みで、定期市「越中大手市場」と合わせて雑貨や飲食など60を超える多彩な店舗が並び、街中に活気を呼び込んだ。

 富山新聞会館前からウエストプラザまでの約150メートル間が車両通行止めとなり、沿道に菓子やおでん、カレー、アクセサリーなどを販売する露店が並んだ。

 今回は「子ども空間」が充実し、日本自動車連盟(JAF)富山支部は運転免許証と同じ大きさの「安全免許証」を発行するブースを設置。子どもが顔写真を撮影し、親の運転免許証と見比べて笑顔を見せた。変形自転車やeスポーツの体験ブース、芝生広場に遊具を設けた「まちのあそびば」もにぎわった。

 富山米の新品種「富富富(ふふふ)」のパックご飯が当たるクイズコーナーや、大相撲の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB)のグッズ販売ブースも人気を集めた。

 社会実験は市などが2017年度から年に複数回実施しており、今年度は来年3月にも予定している。

  ●地域社会で交流を 障害者奉仕団体、今年も出店

 県内の障害者が作った商品を販売するボランティア団体「ゆずりは」(富山市)が今回もブース出店し、生きづらさを感じる障害者らが不特定多数の客や出店者と関わり、笑顔を見せた。

 団体は2021年12月に発足。22年3月から同市場に出店し、県内の就労支援事業所などで作られたパンやクッキー、せっけんなどを販売。偶然立ち寄った障害者らもスタッフとして参加してきた。

 今年度は有償ボランティア活動を始めた。店のスタッフとして1時間働くと市場で使用できる300円分の買い物チケットが手に入る仕組みで、障害者はワークショップや物品販売を通じて客と交流したり、買い物を楽しんだりした。活動はキリン福祉財団(東京)の助成団体に選ばれている。

 近藤光子代表は「店は不特定多数と関わる拠点。市場で経済やお金についても学んでほしい」と話した。市場実行委の秋吉克彦会長も「ハンディのある方も参加してほしい。地域と触れ合う場を創るのも市場の役割だ」と歓迎した。

変形自転車に乗って遊ぶ子ども
来場者と交流するボランティアスタッフ

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