3レース優勝のバウティスタ、2023年チャンピオンに輝く。ドゥカティは2年連続で3冠達成/SBK第12戦スペイン

 スーパーバイク世界選手権(SBK)第12戦スペインラウンドがヘレス・サーキット‐アンヘル・ニエトで行われ、アルバロ・バウティスタ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)がレース1で2023年シーズンのチャンピオンに輝いた。バウティスタは、スペインラウンドの3レースすべてで優勝を飾ってシーズンを締めくくっている。

 2023年シーズンの最終戦となるスペインは、チャンピオンが決まるラウンドとなった。前戦ポルトガルラウンド終了時点で、タイトル争いはランキングトップのアルバロ・バウティスタ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)とトプラク・ラズガットリオグル(パタ・ヤマハwith・プロメテオン・ワールドSBK)のふたりにしぼられている状態。ふたりの差は60ポイントで最終戦を迎えた。

 土曜日に行われたスーパーポールでは、バウティスタがポールポジションを獲得した。2番手はドミニケ・エガーター(GYTR・GRTヤマハ・ワールドSBKチーム)、3番手はアレックス・ロウズ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)となった。ジョナサン・レイ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)は、4番手。ラズガットリオグルは7番手で、3列目からのスタートである。

 レース1は気温24度、路面温度28度のドライコンディションで始まった。ポールポジションスタートのバウティスタがレースをリードし、2番手にレイが浮上。2周目には3番手に浮上したラズガットリオグルがレイをかわし2番手にポジションを上げた。

 ラズガットリオグルはさらにトップを走るバウティスタに接近し、バウティスタとラズガットリオグルが後方を引き離していく。レース中盤以降には、ラズガットリオグルがバウティスタから遅れ始め、トップのバウティスタ、2番手のラズガットリオグルは、それぞれ単独走行になっていった。

 最終的に、バウティスタはポール・トゥ・ウインで優勝を飾った。2位はラズガットリオグル。この結果により、バウティスタが2023年シーズンのチャンピオンに輝き、2連覇を果たした。

 3位を獲得したのはアンドレア・ロカテッリ(パタ・ヤマハwith・プロメテオン・ワールドSBK)。レイは4位だった。5位にはダニロ・ペトルッチ(バーニー・スパーク・レーシングチーム)が入っている。

■レース2:トップでチェッカーのラズガットリオグル、ペナルティで2位に

 日曜日午前中のスーパーポール・レースでは、2周目にエガーターのマシンから白煙が上がり、コースコンディションを理由に赤旗中断となった。約20分の中断のあと、レースは8周で再開。再開後のレースはバウティスタが優勝し、エガーターが2位で初の表彰台を獲得した。3位はレイだった。

 午後に行われたレース2は、気温22度、路面温度24度のドライコンディション。スーパーポール・レースの結果により、バウティスタがポールポジション、2番グリッドにエガーター、そして3番グリッドにレイが並んだ。ラズガットリオグルは4番グリッドからのスタートである。

 1周目、バウティスタをパスしたレイがトップに立つ。2番手はバウティスタ、3番手にはラズガットリオグルが浮上し、エガーターは4番手に後退した。2周目にはラズガットリオグルが2番手に浮上する。

 一方、レイは2番手以下との差を広げていたが、5周目の2コーナーで転倒を喫した。低速での転倒だったためにダメージは大きくなかったようで、すぐにマシンを起こしてレースに復帰するも、大きく後退することになった。

 代わってラズガットリオグルがトップに浮上し、2番手にバウティスタ、3番手にエガーターが続く展開となる。6周目の時点でラズガットリオグルとバウティスタとの差は1秒ほどあったが、バウティスタは少しずつ差を詰めていった。

 10周目、ラズガットリオグルの背後に迫ったバウティスタは、トップ争いを展開する。11周目のメインストレートではバウティスタが前に出るが、ブレーキングでラズガットリオグルがトップを守った。激しいトップ争いを展開する二人の後ろには、3番手にエガーター、4番手にマイケル・ルーベン・リナルディ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)が続き、この4人がトップグループを形成する。

 13周目にはバウティスタがラズガットリオグルをオーバーテイク。翌周1コーナーのブレーキングでラズガットリオグルが前に出るも、バウティスタが再びパスする。ふたりによる接戦のトップ争いは続いた。

 最終ラップにトップで入ったのはラズガットリオグル。その後ろにつけるバウティスタ。バウティスタは最終コーナーでオーバーテイクを仕掛けるもラズガットリオグルが抜き返し、0.162秒差でラズガットリオグルが先行してチェッカーを受けた。

 しかし、ラズガットリオグルは最終コーナー立ち上がりでトラックリミットを超えていたため、1ポジションダウンのペナルティを受け、結果としては2番手でゴールしたバウティスタが優勝となった。レース1で2023年シーズンのチャンピオンを獲得したバウティスタは、最終戦で3レースを制してシーズンを締めくくった。また、Aruba.it レーシング-ドゥカティはチームタイトルを獲得し、ドゥカティが2年連続でライダー、マニュファクチャラー、チームの3冠を達成した。

 今季をもってヤマハを離れるラズガットリオグルは、上述のペナルティにより、2位。3位はエガーターで、ルーキーがスーパーポール・レースに続き表彰台を獲得した。4位はエガーターのチームメイト、レミー・ガードナー(GYTR・GRTヤマハ・ワールドSBKチーム)。5位はペトルッチが獲得した。カワサキでのラストレースとなったレイは、17位で完走を果たした。

 スーパースポーツ世界選手権(WSS)のレース1では、前戦ポルトガルでチャンピオンを獲得したニコロ・ブレガ(Aruba.itレーシング・ワールドSSPチーム)が優勝した。2位はステファノ・マンジ(テンケイト・レーシング・ヤマハ)、3位はフェデリコ・カリカスロ(アルテア・レーシングチーム)が獲得している。

 レース2は3周目に転倒したライダーのマシンによりクッションバリアが破損したため、赤旗中断となった。再開されたレースでは、ブレガが優勝。2位はマンジ。3位はジャン・オンジュ(カワサキ・プチェッティ・レーシング)が獲得した。

ミサノで復活したイエローカラーでレース2を戦ったAruba.it レーシング-ドゥカティ

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