全国で1%→2%へ…希少な「しょうゆ」ふるまいも 次の100年へ向け「木おけ」制作 坂戸の弓削多醤油

胴突で底板をたたいて木おけに落とし入れる「木桶職人復活プロジェクト」メンバーたち。左から2人目が寺坂さん=埼玉県日高市田波目の醤遊王国日高本店

 木おけ仕込みの製法を中心にしょうゆなどを製造・販売している弓削多醤油(埼玉県坂戸市多和目、弓削多洋一社長)は、日高市田波目の醤遊王国日高本店で創業100周年を記念したイベントを開いた。

 同社では、創業100周年の企画として、「木桶づくりプロジェクト」を展開。クラウドファンディングを活用し、一度作ると100年もつと言われる木おけを飯能市の西川材と越生町の真竹を使って制作した。14~20日に行われた木おけづくり体験イベントには、木おけ職人の減少に危機感を覚えたしょうゆ蔵、酒蔵、みそ蔵が集まった「木桶職人復活プロジェクト」のメンバーも集まり、海外からの参加者もいた。

 弓削多社長は「全国のしょうゆ出荷量のうち、木おけで発酵・醸造した醤油は1%。今2%を目標にしており、今日は木おけでつくったしょうゆの味を楽しんでほしい」とあいさつ。会場では、しょうゆのおいしさを味わってもらおうと、生じょうゆや丸大豆しょうゆを使った料理がふるまわれた。

 また、木おけづくりの最終工程である底打ちを実施。「木桶職人復活プロジェクト」のメンバーが木おけの縁に立ち、木おけを1周するように胴突(どうつき)と呼ばれる大きな角材で底板をたたいて落とし入れた。

 木おけづくりに初日から参加した寺坂雄紀さん(43)は、普段は豪州でみそを製造、販売している。もともとは料理人だったが、ワークショップをきっかけに日本の伝統的な調味料の魅力に気付いたという。「木おけでもみそを作りたくて参加したが、思った以上に奥深く、残していかないといけない技術。豪州にも持って帰って、調味料づくりに活かしていきたい」と語った。

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