「西海の魚」消費拡大へ連携 4漁協、商社、西海市がPR 土曜朝市や特産品を使ったコロッケ開発

西海大崎漁協の「鯵のチーズ魚ロッケ」(西海クリエイティブカンパニー提供)

 長崎県西海市内にある「大瀬戸町」「西彼町」「瀬川」「西海大崎」の4漁協と地域商社「西海クリエイティブカンパニー」(SCC、西彼町)と市は連携し、地元の魚介類の消費拡大などに取り組んでいる。新鮮な魚を割安で即売する「西海市土曜朝市」や、タコやカキなど各漁協の特産品を使った4種類のコロッケを開発、販売している。
 毎月最終土曜、西彼町の西彼町漁協裏の朝市会場。「旬のもの」を買い求める市内外の買い物客でにぎわう。飲食ブースも軒を連ねる中、人気は1回500円で旬の魚が当たるカプセル自動販売機「お魚ガチャ」。長い行列ができ、整理券を配るほどだ。
 朝市は、2021年11月スタートし、昨年6月から定期開催。同年7、8月はそれぞれ延べ約500人が来訪。現在も毎回200人ほどが訪れる。
 コロッケは、市のブランド戦略商品「ゑべす蛸(だこ)」(大瀬戸町)「うず潮カキ」(西彼町)をはじめ、「スズキ」(瀬川)「鯵(あじ)」(西海大崎)といった各漁協が得意とする海の幸が具材。フレンチシェフで津本料理店代表の津本真砂幸さん(50)=西彼町=が監修した。同店で冷凍品を製造し、SCCのECサイトや朝市会場などで販売中。
 取り組みはSCCが音頭を取る。同市を囲む五島灘や大村湾、佐世保湾の各海域で特色のある水産物が水揚げされていることに着目。ブランディング&マーケティング事業として、3年前から社員を各漁協に出向させ、新商品の開発や販路拡大をサポートする。
 20年には手始めに4漁協がリレー方式で情報を発信する「西海おさかなブログ」を開設。市も4漁協で構成する市水産振興協議会に対し経費などを支援している。

毎月最終土曜日に開かれている「西海市土曜朝市」。市内外からの買い物客でにぎわう=同市、西彼町漁協裏(西海クリエイティブカンパニー提供)

 背景には、漁業の担い手不足や高齢化がある。農林水産省の「漁業センサス」によると、市内の漁業就業者数は1993年の1565人が、2008年は939人と大台を割り込み、18年は579人まで減った。水産資源の減少や魚価の低迷、燃料費高騰などの課題もある。
 市などは、ブランド力と販売力の強化や6次産業化によって付加価値を高めることで、魚価や水揚げ量に左右されにくい経営への転換や、所得の確保・向上を図りたいとしている。
 今後の展開について同社の浪方勇希専務は「集客増や規模の拡大など、朝市を伸ばしていきたい」と強調。「漁業者に朝市に魚を直接持ち込んでもらい、にぎわい創出につなげたい」と話した。

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