犬の食物アレルギーでみられる4つの症状! 注意すべきポイントに「油断は禁物だね」「気付いていない可能性もあるのか」

犬の食物アレルギーでみられる症状

犬が特定の食べものを食べることで起こる食物アレルギーの症状には、以下のようなものが挙げられます。

1.皮膚に赤みやかゆみが出る

食物アレルギーの症状として、最も多く見られるのが「皮膚のかゆみ」です。皮膚表面が赤くなることもありますし、赤みはなくかゆみだけが出る場合もあります。

多くの場合、急激に強いかゆみが出るため、犬はかゆい部分を引っかきます。かゆみがなかなかおさまらないこともあり、掻きすぎて皮膚に傷がついてしまったり、出血してしまったりすることもめずらしくありません。

皮膚に傷がついてただれてしまったり、傷から雑菌が入ってしまったりすることもあります。

犬の場合は「搔きすぎると皮膚によくない」などと考えて自制することはむずかしいため、しつこく体を掻き続けている様子が見られたら、動物病院を受診するようにしましょう。

2.ふけ、脱毛

犬の食物アレルギーの症状は、皮膚にあらわれることが多く、上記の赤みやかゆみに加えて、大量のふけが出たり脱毛したりすることもあります。

このような症状が見られるとき、大半は強いかゆみも併発しています。

3.消化器系症状が出る

食物アレルギーの症状には、皮膚トラブルのほかにも、消化器系のトラブルも多く見られます。

嘔吐や下痢、腹痛、お腹の張りなどが見られて、下痢や嘔吐はくり返すことも多いため、適切な処置をせずにいると脱水症状を引き起こしたり衰弱したりすることもあります。

下痢・嘔吐をくり返しているときは、点滴治療を受けたり吐き気止めの薬を処方してもらったりした方がいいので、動物病院を受診しましょう。

4.急性アナフィラキシー

急性アナフィラキシー(アナフィラキシーショック)は、食物アレルギー以外でもみられる全身のアレルギー反応です。アレルゲン(抗原)が体内に侵入してから数分〜数十分であらわれる反応で、複数の臓器に症状があらわれます。

急激に血圧が低下して、内臓疾患があらわれたり、神経が興奮状態になって虚脱やけいれん、昏睡へと進行していったりします。最悪の場合、死に至ることもあるので、迅速な対応が必要となります。

アレルギー症状を起こしやすい食べもの

食物アレルギーは、食べものに含まれているアレルギーの原因になる物質(アレルゲン)を、免疫が異物とみなして過剰に反応することで起こる疾患です。

食物アレルギーのアレルゲンになるのは、主にたんぱく質だとされていて、特に以下のものに注意が必要です。

  • 牛肉
  • 鶏肉
  • 乳製品
  • 小麦
  • トウモロコシ
  • 大豆

これらの食べものは、ドッグフードや犬用のおやつに含まれていることが多くあります。始めは問題なく食べられていたものも、食べ続けることでアレルギー症状を発症することもあるということを覚えておきましょう。

また、一度アレルギー症状を発症した食べものは、食事として口内に摂取しなくても、触れたり粉末を吸い込んだりしただけでアレルギー反応が出ることもあります。

時間が経ってから発症する可能性もある

食物アレルギーは、食べてから数十分以内に発症する即時型の症状だけでなく、1~2日後に出現する遅延型の症状がみられる場合もあります。

食後すぐにあらわれるアナフィラキシーショックも非常に危険で、すぐに治療が必要ですが、遅延型の症状の場合、アレルギー反応であることを見落としてしまうこともあるのです。

具体的には、アトピー性皮膚炎として出現します。皮膚に赤みやかゆみがあらわれたり、脱毛したりすることが多く、犬自身が皮膚を搔きむしって出血したり皮膚が黒ずんだりすることもあります。

アトピー性皮膚炎は慢性化することも多いため、アレルゲンの除去やかゆみの鎮静、スキンケアなど様々な観点からのケアが必要とされています。

まとめ

食物アレルギーは、犬種や性別、年齢を問わずどのような犬にも起こる可能性があるものです。

軽度な症状の場合、飼い主さんでも見落としてしまうこともあるので、食事の後しばらくは愛犬の様子をしっかりとチェックしてあげるようにしてください。

また、一度動物病院でアレルギー検査を受けておくのもおすすめです。

(獣医師監修:寺脇寛子)

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