●贈賄容疑、業者夫婦も
志賀町発注の配水管工事の入札を巡り、現金50万円を受け取って最低制限価格を漏らしたとして、石川県警捜査2課と羽咋署は30日、受託収賄や官製談合防止法違反などの疑いで、町長の小泉勝容疑者(57)=同町町(まち)=と妻で会社役員の美穂容疑者(56)を逮捕した。贈賄などの容疑で土木工事会社「青谷(あおたに)工業」(同町)代表取締役の男と妻の2人も逮捕。県警は同日に町役場を捜索し、関係資料を押収した。
逮捕容疑は、小泉容疑者らは共謀し、町が今年7月6日に実施した「老朽管路耐震化更新事業配水管更新工事(倉垣2工区)」の指名競争入札で、6月下旬に青谷工業側から50万円の賄賂を受け取り、7月上旬に入札の最低制限価格827万6千円(税別)を漏らして同社に同額で落札させた疑い。
贈賄などの容疑で逮捕されたのは青谷工業代表取締役の青谷武容疑者(83)=志賀町徳田=と妻で取締役の勝美容疑者(76)で、共謀して入札での便宜を小泉容疑者らに依頼し、現金を渡した疑いが持たれている。県警は4人の認否を明らかにしていない。
●価格は町長が決定
この工事の入札には8社が参加した。町によると、町の指名競争入札の最低制限価格は、500万円以上2千万円未満の場合、町長である小泉容疑者が決定しており、今回の工事も該当する。決定後、価格が書かれた用紙は金庫に保管するという。
捜査関係者によると、県警は町発注の工事に絡む贈収賄疑惑の情報を得て、内偵捜査に着手した。今年の夏ごろから、青谷工業を含む複数の業者や町関係者から事情を聴くなどし、入札の背景を調べていた。
県警は別の町発注工事でも、金銭の授受や特定の業者に便宜が図られていなかったかなどを調べる。
町役場の捜索は午後6時40分ごろから始まり、県警の捜査員約50人が建物内に入った。捜査員はそれぞれに分かれ、3階の町長室や入札を担当する企画財政課などで関係資料を調べたとみられる。
●首長逮捕、99年以来 石川県内
県内で現職首長の逮捕は、1999年に町職員採用に絡む収賄容疑で逮捕された旧能都町長の山瀬秀氏=収賄罪で有罪判決=以来。前年には旧松任市長の細川久米夫氏が市の発注工事に関する同容疑で逮捕され、有罪判決となった。
★小泉勝・志賀町長(こいずみ・まさる) 米ウッドジュニアカレッジ卒。旧志賀町議を経て2003年から石川県議を1期務め、09年の町長選で初当選。13、17、21年に再選し、現在4期目。羽咋郡市広域圏事務組合長。