雑音混じりでも「味がある」 昭和の真空管ラジオ復活 南丹市で公開

約70年前に製造され、修理でよみがえった真空管ラジオ(南丹市八木町・旧吉富小)

 京都府南丹市八木町の吉富ノ庄(旧吉富小)で10月29日、恒例の「吉富ノ庄まつり」があった。校舎内で展示してきた70年以上前の真空管ラジオが修理でよみがえり、公開された。来場者は懐かしみつつ、レトロな姿から雑音混じりで現代の流行歌が流れる意外性に興じた。

 住民による実行委員会が主催。絵画や書に加え、今年はラジオが目玉になった。

 1950年ごろに発売されたナショナル(現パナソニック)の製品。昭和の生活を伝える展示を同小に設けた約2年前、同庄運営委員会の廣瀬稔会長(80)が妻の実家(亀岡市東別院町)にあったものを寄贈した。

 さびやほこりに覆われていたが5月ごろ、同市日吉町の旧五ケ荘小にある音響機器の工房に修理を依頼。真空管など多くの部品はそのまま使用でき、まつりに合わせて修理が完了した。

 十分聞き取れる音質でAMラジオを受信でき、多くの人が耳を傾けた。廣瀬会長は「日本製の高い質が証明された。雑音が混ざるのも味がある」と喜んだ。ラジオは今後も同小で展示する予定。  

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