日銀は31日の金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策を再修正し、1%としていた長期金利の上限を「1%をめど」に柔軟化することを決めた。金利を厳格に抑え込まず、1%を一定程度超えることを容認する。植田和男総裁は会合後に記者会見し、金利を無理に抑え込むと本来のあるべき水準とかけ離れて債券市場がゆがむため「副作用が発生する少し前に動きたいと判断した」と予防的な措置だと説明した。
日銀は賃金の上昇を伴う形で物価上昇率を2%に安定させる目標を掲げている。植田氏は実現の見通しについて「少し前進したと言える」との認識を示した。ただ「十分な確度で見通せる状況には至っていない」として「粘り強く金融緩和を継続する」と語った。
日銀は7月、長期金利の上限を0.5%から1%に引き上げ、1%を超える場合は国債を無制限に買い入れる「指し値オペ」で金利を抑えることを決めた。
日銀は今後、投機的な動きによる長期金利の上昇は国債買い入れなどで抑えるが、景気拡大による上昇はある程度容認する方針だ。