都ホテル跡、再開発合意 金沢市と近鉄グループ

都市再生特別措置法を活用して開発する方針が決まった金沢都ホテル跡地=金沢市此花町

  ●特措法活用し近く国に申請 市長が知事に報告 

 金沢駅前の金沢都ホテル跡地を巡り、村山卓金沢市長は31日、石川県庁に馳浩知事を訪ね、跡地を所有する近鉄グループと同市が国の「都市再生特別措置法」を活用して開発を進める方針で合意したと報告した。馳知事は「法を踏まえ県もしっかり対応する」と述べ、協力する意向を示した。市は国への候補地申請を急ぐ構えで、県都の玄関口ながら5年近く塩漬けになっていた一等地が再生に向けた一歩を踏み出した。

 市は片町、香林坊、南町、武蔵が辻から金沢駅に至る都心軸エリアを、特措法に基づく「都市再生緊急整備地域」の候補地とするよう近く内閣府に申請する方向で検討している。

 金沢都ホテル跡地は同地域の中でも、既存の高さ制限や容積率などにとらわれず自由度の高い開発を可能とする「都市再生特別地区」に位置付けられる見通し。開発のハードルとなっていた60メートルの高さ制限の扱いを、市は県や近鉄グループなどと慎重に検討するとみられる。

 金沢都ホテル跡地に関しては、10月20日に開かれた金沢経済同友会と馳知事の意見交換会で、知事が特措法の活用に前向きな姿勢を表明。市と近鉄グループが同法に基づく開発に合意した上で、協力の要請があれば、法に定める県の役割を果たす考えを示していた。

 村山市長は31日、馳知事に対し「市としても、できるだけ早くあの土地を活用してもらいたい。国への申請手続きと並行して、近鉄側には利活用策を考えてもらう」と議論を急ぐ考えを述べ、県、市としても用途の協議に積極的に関わっていく方針を確認した。

 馳知事は「金沢市の顔であり、県としても極めて重要なエリアだ。近鉄にとっても、県、市にとっても利益になる開発が望ましい」と語り、市に積極的な情報共有を求めた。

 ★都市再生特別措置法 2002年、市街地再開発を目的に制定された。活用には該当エリア全体が「都市再生緊急整備地域」の指定を受け、さらに自由度の高い開発が可能な「都市再生特別地区」を設定する。都市再生緊急整備地域の指定には候補地申請を経て、国、県、市などでつくる準備協議会による整備方針の素案作成が必要。都市再生特別地区の設定には、事業者の提案に基づき、既存の高さ規制などを適用除外とした地区計画を国、県、市で協議し、県が都市計画決定する。

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