楽しみながら知って…川越を巡りながら「1型糖尿病」知るクイズラリー 当事者らが企画、運営 3~5日

自身がデザインしたインスリン自己注射をしやすいTシャツを着用し、注射器やチラシを手にクイズラリーへの参加を呼びかける吉田恵さん

 国内に10~14万人の患者がいると推計される1型糖尿病への理解を進めようと、当事者たちの団体が3日から、埼玉県川越市内で「1型糖尿病&小江戸川越クイズラリー」を行う。昨年11月に続く2回目の開催。運営体制を充実させ、啓発促進を目指す。5日まで。

 1型糖尿病は膵臓(すいぞう)のインスリンを分泌する細胞が壊されてしまう疾患。糖尿病の大部分を占める2型は生活習慣や遺伝的要因が関係するが、1型の原因は解明されていない。発症するのは若年層が中心で、生涯にわたってインスリン注射が必要となる。

 クイズラリーは、川越市内に住む1型糖尿病患者の吉田恵さん(36)が企画した。吉田さんは5歳で発症。毎日7回ほどのインスリン自己注射を行っている。注射は上腕や腹など、皮下脂肪の多い部位に打つ。不便を感じていた吉田さんは、注射する場所にスリットがあるTシャツをデザイン。ウェブやイベントで販売する事業を2020年に立ち上げた。取り組みを始めてみて、「どのような病気なのか、まだまだ知られていない」と実感したという。

 適切な時に自己注射をするには、周囲の理解や配慮が欠かせない。血糖値がコントロールできなければ、命を危険にさらす。吉田さん自身も学生時代、注射の機会を逃して意識を失い、倒れた経験がある。「外出先で注射しづらいからと、ひきこもりがちになる人もいる」と吉田さん。1型患者が暮らしやすい社会にするため、クイズラリーを通じた啓発を思いついた。

 昨秋は吉田さん個人で開催し、195人がラリーに参加。今年は吉田さんが代表となり、6人ほどの患者仲間で「1型糖尿病&インスリンフレンズの会」を結成した。

 参加者は同市新富町の「小江戸蔵里」で受け付けし、解答用紙をもらって出発。市内中心部の6店で4択問題を見つけて答えを書き、3問以上に正解するとプレゼントがもらえる。一部店舗は割引を実施。蔵里にはリラクゼーションコーナーなども開く。吉田さんは「観光を楽しんだりしながら、この病気を知ってほしい」と願っている。各日とも午前10時~午後3時15分。参加無料。

 問い合わせは、吉田さん(電話080.3512.3758)へ。

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