指針の5倍超の有機フッ素化合物=PFAS検出 静岡市「健康の悪影響なし」河川や工場前の水路などの水質調査の結果を公表

静岡市清水区の化学工場で発がん性が指摘される有機フッ素化合物=PFASが過去に高濃度で検出された問題。静岡市が調査した結果、国の指針値の5倍を超える濃度のPFASが検出されたことが分かりました。

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<武前愛香記者>
「静岡市はこちらの化学工場前の水路で水質検査を行い、その結果、国が定めた指針値のおよそ5.4倍の濃度のPFASが検出されたということです」

静岡市清水区三保にある「三井・ケマーズフロロプロダクツ清水工場」では、約10年前までPFASの一種で毒性が強いとされているPFOAを使用していて、元従業員の血液や敷地の周辺から高濃度のPFASが検出されたことが明らかになっています。

こうした事態を受け、静岡市は市内の河川や工場前の水路など、合わせて6か所で水質調査を実施し、11月1日、結果を公表しました。

<静岡市 難波喬司市長>
「暫定指針値を超えているという事実が確認されましたので、直ちに対応していく必要があるということで危機感を持って対応したいと思っています」

調査の結果、工場前の水路で、国の定める指針値・50ナノグラムを大幅に上回る、270ナノグラムの濃度が検出されたということですが、飲料として長い時間飲み続けない限り、健康への悪影響は生じないとしています。

「三井・ケマーズフロロプロダクツ」の社長らは、10月31日、難波市長のもとを訪れ、会社が独自に行った調査では、指針値の10倍を超える濃度が検出された月もあったことが分かりました。

PFASに詳しい京都大学大学院の原田浩二准教授は、「PFASは自然環境では分解されにくい物質で、過去に使われたものが土壌などに残留し、染み出てきているのではないか」と分析しています。

静岡市は、周辺の地下水の水質調査も実施していて、次週以降にその結果を公表し、改めて対応を協議する予定です。

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