東海道新幹線 静岡県内への停車本数増は「あり得る範囲のもの」JR東海社長 リニア工事“田代ダム案”前進も残土置き場は妥協点見つからず…

リニアの開業後、静岡県内に停車する東海道新幹線の本数が増える見込みを国が示したことについて、JR東海の丹羽俊介社長は「あり得る範囲のもの」と述べました。10月30日午後に行われた定例会見で明らかにしました。

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静岡県は、いまだリニア工事の着工を認めていませんが、国とJR東海側の準備は着々と進んでいるようです。

<JR東海 丹羽俊介社長>
「静岡県全体の停車回数の想定の数字については違和感はなく、あり得る範囲のものであると考えているところです」

リニア中央新幹線の開業後、静岡県内に停車する東海道新幹線の本数が現在の1.5倍に増える見込みがあると国土交通省が示した試算。JR東海の丹羽社長はこのように評価した上で、「リニア開業後に静岡県へのメリットが生じることを静岡県のみなさまに実感して頂くことが大切」と強調しました。

<静岡県 川勝平太知事>
「あくまで仮定なので実現できるか分からないことを10か月かけてやられたということに、お粗末であり、呆れている」

一方、静岡県の川勝平太知事は国が示した調査結果について、「お粗末で呆れた」と痛烈に批判。両者の考えには隔たりが残されたままですが、「大井川の水問題」については、ある進展がありました。

<JR東海 丹羽俊介社長>
「流域の関係者のみなさまに個別にご説明に伺った際に、反対する意見がありませんでした」

丹羽社長が詰めの協議に入るとしたのは、「田代ダム」の取水抑制案です。

<坪内明美記者>
「大井川上流部の田代ダムです。工事で流れ出る水を大井川に戻すため、ここ田代ダムを活用した方法が有力視されています」

JR東海は先週、ダムを管理する東京電力と具体的な方法がまとまったと発表し、水問題の解決に向け、前進しました。

<JR東海職員>
「静岡県に利水協議会の了解をいただきたいと、その調整を進めていただきたいという文書を静岡県へ発信したところ」

一方、簡単には進みそうもない問題もあります。

<坪内明美記者>
「トンネル工事で発生する土の置き場の候補地になっている“ツバクロ”です。7つの候補地のうち、最大規模の広さです」

JR東海は東京ドーム3杯分に相当する残土をこの置き場で管理する計画ですが、県は「土石流が発生する恐れがある」などと難色を示していて、妥協点は見つからないままです。

<JR東海 静岡工事事務所 永長隆昭所長>
「リスクをどう考えるか、(人の)生命に影響を与えないことを主眼に、いままでいろいろな検討を行っている」

リニア工事の解決をめぐっては、まだまだ時間がかかりそうな様相です。

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