【中国】新疆に自由貿易試験区、1日に発足[経済]

新疆ウイグル自治区の自由貿易試験区(自貿区)が1日発足した。中国国営中央テレビ(CCTV)系の央視新聞が伝えた。中国国務院(中央政府)は10月31日、改革開放政策の先行試験地区と位置付ける自貿区を新疆に設置すると発表していた。施設建設などは今後進むと考えられる。地理的な優位性を生かして、金融や物流などの産業発展を目指す。中国の自貿区としては22カ所目。

新疆自貿区はアジアと欧州を結ぶ黄金回廊の建設と、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の建設に向けた推進役を担うとの大方針を定めた。総面積は約180平方キロメートルで、自治区都がある「ウルムチエリア(約135平方キロ)」、新疆南部の「カシュガルエリア(約28平方キロ)」、新疆北部の「コルガスエリア(約17平方キロ)」の3カ所に分ける。

ウルムチエリアは国家物流ハブと位置付け、国際物流や先進製造業、紡織・衣料、バイオ医薬、新エネルギー、新材料、ソフトウエア・情報技術サービスなどの発展に重点を置く。ハイテク技術を活用した教育、文化・クリエーティブ、金融イノベーション、コンベンションなどの現代サービス業の発展にも注力し、中央アジアなど周辺諸国との交流の重要なプラットフォームを構築する。

カシュガルエリアは、地理的な優位性を生かし、輸出志向型経済の拡大を進める。農業副産物加工、紡織・衣料製造、電子製品組み立てなどの労働集約型産業の発展に重点を置く。国際物流や越境電子商取引(EC)などを積極的に育成し、中央アジア・南アジア市場などとを結ぶ商品加工集積拠点を形成する。

コルガスエリアは、カザフスタンと隣接する物流ハブの利点を生かし、越境物流、越境観光、金融サービス、コンベンションなどの現代サービス業の発展に焦点を当てる。医薬、電子情報、新材料などの産業も拡大し、経済・貿易・投資に関する国境をまたいだ協力の新たなモデル創出を目指す。

■金融サービスの開放推進

国務院は新疆自貿区の建設に向けて、オープンな特色ある産業体系の構築、金融サービスとオープンイノベーションの深化、欧州とアジアを結ぶ総合物流ハブの構築、西側諸国との多層的な交流・協力、人材育成など8分野25項目の措置を打ち出した。

産業体系の構築では、中国中東部の先進設備製造業の移転の受け皿となる。データセンター関連産業の新疆への移転も進める。国家戦略「東数西算(東部のデータを西部で処理する)」プロジェクトにも参与し、国家コンピューティングネットワークの体系構築などを進める。

金融サービスの開放では、銀行・保険・証券などの海外金融機関が新疆自貿区に法人を設立することを支持。企業のグリーンボンド(環境債)の発行、環境対策に取り組む企業に資金を提供する「グリーンファイナンス」などを推進するほか、輸出信用保険の対象範囲も拡大する。ブロックチェーン(分散型台帳)サービスプラットフォームを通じて国境をまたいで保険商品をオンラインで購入できるようにする。

計画の詳細は国務院のウェブサイトで確認できる。

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