長崎の宿泊施設「十八親和ペンギンハウス」 開設半年、難病の子と家族300人利用 運営も軌道に

十八親和ペンギンハウスのボランティアスタッフと利用状況を共有した報告会=長崎市坂本1丁目、十八親和ペンギンハウス

 十八親和銀行の空き店舗を難病の子どもと家族のための宿泊施設として整備した「十八親和ペンギンハウス」(長崎県長崎市坂本1丁目)は2日、オープンから半年を迎えた。これまでに延べ300人以上が利用。懸案だったボランティアスタッフも集まり、運営が軌道に乗っている。
 店舗統合で空き店舗になった旧大学病院前支店を改装し、5月に開所した。改装費は銀行が負担し、一般社団法人「長崎ペンギンの会」(野添恭士、福生泰彦両代表理事)が無償で借り受け運営。高度医療が必要な子どもが入通院する長崎大学病院に近く、安価で利用できるため、子どもや家族の経済的、精神的な負担軽減につながる。
 同会によると9月末までに、約50世帯298人が利用。既に300人を超えた。五島、平戸、島原各市などの他、県外在住の家族も利用した。「子どもと会う頻度が増えた」「(留守番で)さみしい思いをさせていた兄弟を連れてくることができた」などの感謝の声が寄せられている。
 開所前は、施設の清掃などを担当するボランティアスタッフと運営費に充てる寄付金の確保が懸案だった。ボランティアスタッフは現在約30人が登録し、月1、2回程度従事。掃除の手順やこつなどを記したマニュアルも作成し、サービス向上を図っている。寄付金は、企業・団体35社、個人約200人から集まった他、作業服販売の九州ワーク(佐世保市)がスタッフ用エプロン約50着を寄贈した。
 同会は10月26日、スタッフ向けの報告会を初めて開いた。野添代表理事は「ボランティアがどれだけ集まるか心配だったが、多くの人に賛同してもらい、ありがたい」とお礼を述べた。福生代表理事は「稼働率を上げることは目的でないが、ペンギンハウスの存在を知らず、使っていない人がいるかもしれない。必要とする人に情報を届ける努力を続けたい」と話した。

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