アンドレアス・ミケルセンが2年ぶりにWRC2制覇。CERは14位も1戦を残してランキング1位タイに

 WRC世界ラリー選手権トップカテゴリー直下のWRC2クラスは、10月26~29日に開催されたセントラル・ヨーロピアン・ラリー(CER)を終え、シュコダ・ファビアRSラリー2をドライブするアンドレアス・ミケルセンがドライバーズタイトルを獲得。ミケルセンと彼のコドライバーを務めるトルステン・エリクセンは、CERの最終日に行われたパワーステージを制し、2023年のチャンピオンに輝くこととなった。

 WRC史上初、3カ国をまたぐイベントとして行われた今回のCERは、おそらくミケルセンのキャリアのなかで、もっとも驚くべき逆転劇のひとつとなったラリーであるだろう。34歳のノルウェー人ドライバーはクラス14位/総合23位でフィニッシュし、WRC2ウィナーのニコラ・シアマン(シュコダ・ファビアRSラリー2)に13分以上もの差をつけられたにもかかわず、2年ぶりとなる栄冠を手にした。

 デイ2が行われた金曜日の朝、ミケルセンのファビアRSはコースアウトを喫し、約10分ものタイムを失ってしまう。これによってミケルセンは自力でのタイトル獲得の可能性も失うこととなってしまった。

 しかし、選手権争いにおいてもっとも近い位置にいたヨアン・ロッセル(シトロエンC3ラリー2)は、金曜オープニングのSS3で木に衝突しリタイア。そのためミケルセンと同じくファビアRSラリー2を駆るガス・グリーンスミスが、CERでミケルセンのタイトル獲得を阻止する可能性を持った唯一のドライバーとなった。

 そのグリーンスミスは初日のパンクに始まり、苦戦を強いられたことでクラス5位に留まる結果に。さらにパワーステージのボーナスポイントをグリーンスミスではなくミケルセンが獲得し、CER終了後のポイントランキングでは両者が合計111ポイントで並ぶかたちとなった。

 ミケルセンはライバルと異なり、まだ1戦を残している。2023年シーズンを振り返ると、グリーンスミスがこれまで2勝しているのに対し、ミケルセンは今季3勝。WRC最終戦のラリージャパンの結果にかかわらず、2021年王者はもはや負ける要素がないと言える。

「パワーステージに臨むにあたって、失うものは何もないとわかっていた」とWRC.comに語ったミケルセン。

「あのステージでは本当に全開だったし、すべてが完璧に機能していた。あれで充分だったし、とてもハッピーだよ」

 WRC2クラスの上位陣では日曜日のオープニングステージを前に、ファビアRSを駆るシアマントップに浮上した。それまでラリーをリードしていたエミル・リンドホルムのヒョンデi20 Nラリー2が、オルタネーターのトラブルによってリタイアを余儀なくされてしまったためだ。

 クラス首位に浮上したシアマンは2番手のエリック・カイス(シュコダ・ファビアRSラリー2)に32.7秒もの差をつけ、自身初となるWRC2での優勝を飾ることとなった。

「素晴らしいよ」とコメントしたシアマンは、その喜びを語った。

「WRC2では何度か良いポジションにつけていたんだけど、いつも失敗していたんだ。今回、数年ぶりに結果を持ち帰ることができて嬉しいよ」

 クラス3位にはカエタン・カエタノビッチ(シュコダ・ファビアRSラリー2)が入り、4位のサミ・パヤリ(シュコダ・ファビアRSラリー2)、5位グリーンスミスの後にもミコ・マルチェク、7位にニコライ・グリアジンと続くなどCERでは地元チェコの自動車メーカーであるシュコダのファビアRS勢が、WRC2クラスの上位を占める結果となっている。

2023年のWRC2ドライバーズタイトルを獲得したアンドレアス・ミケルセン(シュコダ・ファビアRSラリー2)
ガス・グリーンスミス(シュコダ・ファビアRSラリー2) 2023年WRC第12戦セントラル・ヨーロピアン・ラリー
WRC2クラスで優勝したニコラ・シアマン/ヤニック・ロシュ組(シュコダ・ファビアRSラリー2) 2023年WRC第12戦セントラル・ヨーロピアン・ラリー

■2023年WRC2クラス ドライバーズランキング(WRC第12戦CER終了時点)

Pos. Name Car Points Rounds completed

1 アンドレアス・ミケルセン シュコダ・ファビアRSラリー2 111 6/7

2 ガス・グリーンスミス シュコダ・ファビアRSラリー2 111 7/7

3 ヨアン・ロッセル シトロエンC3ラリー2 104 7/7

4 オリバー・ソルベルグ シュコダ・ファビアRSラリー2 91 7/7

5 サミ・パヤリ シュコダ・ファビアRSラリー2 86 7/7

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