「1型糖尿病」乗り越え 夢はプロ野球選手!闘病しながらWBC元日本代表の元阪神・岩田稔さんも応援【現場から、】

糖尿病というと、大人がかかる病気だと思われがちですが、子どももかかる糖尿病もあります。「1型糖尿病」です。元阪神タイガースの投手で、WBC日本代表で世界一にもなった岩田稔さんが闘病しながら現役を続けていたことでも知られています。5歳で発症し、岩田さんと同じくプロ野球選手を目指す男の子がいます。

【写真を見る】「1型糖尿病」乗り越え 夢はプロ野球選手!闘病しながらWBC元日本代表の元阪神・岩田稔さんも応援【現場から、】

<吉田充汰くん(10)>
「バイバイ」

静岡県藤枝市に住む小学4年生の吉田充汰くん。学校から帰るとおやつを食べるのが楽しみですが、その前にやることがあります。

<中西結香記者>
「236。どうですか」

<母・由佳さんと充汰くん>
「ちょっと高い」

充汰くんは、すい臓の血糖値を一定に保つホルモン、インスリンが出なくなる1型糖尿病です。5歳のときに突然発症して以来、血糖値を下げるインスリン注射を打ち続ける日々が始まりました。

1日に5回の注射…「どうしたら代わってあげられるんだろう」

「いただきます」
「え、ちょっと待って」
「あ、あれ?おーい」

<吉田充汰くん>
「53」

1型糖尿病には、食事や運動の制限はほとんどありませんが、毎食後など、1日5回の注射は欠かせません。

<吉田充汰くん>
Q.毎日注射を打つのは大変?
「大変だけど、やらないと自分が困るから、大変だけど頑張ってます」

<父・典一さん>
「先生からインスリン注射をずっと必要だよと、治らないという話を聞いて、頭の中が真っ白で、どうしたら代わってあげられるんだろうとかそういうことばっかり考えていた」

糖尿病患者には、1型と2型の2つがあります。

<順天堂大学医学部附属静岡病院 糖尿病・内分泌内科 野見山 崇教授>
「2型は中高年から高齢者が多いです。それに対して、1型の方は比較的若い人が多い」
Q.原因は?
「よく分かっていませんが、1つは自己免疫疾患と言って、自分のインスリンを出す細胞が自分の免疫によって壊されてしまって、インスリンがほとんど出ないような病気を1型糖尿病といいます」

1型糖尿病は、生活習慣と無関係に誰にでも突然、発症する可能性がある病気です。充汰くんの希望になっている人がいます。

「みんなを助けられるような選手に」

岩田稔さん。元阪神タイガースの投手でWBC日本代表で世界一にもなった経験を持ちます。高校時代に1型糖尿病を発症しながらプロ野球選手として16年間の現役生活を全うし、いまは、患者の希望になりたいと各地で啓発活動をしています。

<吉田充汰くん>
「え?」
<岩田稔さん>
「こんにちは。会いにきたよ。こういう選手になりたいと目標を持ってやっていくことがすごく大切。そういう努力をするためにも、血糖値のコントロールだったり、そういうことも自分でいろいろ考えながら」

岩田さんのサプライズ訪問に充汰くんは勇気をもらいました。

1型糖尿病を正しく理解してほしい。充汰くんの両親は、1型糖尿病の子を持つ保護者が運営する団体「Type 1 Unity」で病気について伝える活動をしています。

<母・友佳さん>
「病気の原因自体が違うというところを理解していただきたいのと、子ども1人1人すごく頑張ってやっているので、応援してもらう気持ちで見てもらえたら」

充汰くんの夢はプロ野球選手になること。血糖値さえ管理すれば、挑戦できることは岩田さんが証明しています。

<充汰くん>
Q.どんな野球選手になりたい?
「1型(糖尿病)のみんなを助けられるような選手になりたいです」

© 静岡放送株式会社