「あまりにも水温が高すぎる」“駿河湾の宝石”サクラエビまさかの「不漁」 解禁初日は前年の1/3に…夏の猛暑が影響か

2023年もおいしいサクラエビの季節がやってきました。「駿河湾の宝石」と呼ばれるサクラエビの秋漁が解禁されましたが、初日の水揚げ量は、2022年秋漁の3分の1程度と厳しい出だしとなりました。背景にあるのは「夏の猛暑」。いったい何が起きているのでしょうか。

【写真を見る】「あまりにも水温が高すぎる」“駿河湾の宝石”サクラエビまさかの「不漁」 解禁初日は前年の1/3に…夏の猛暑が影響か

<ごはん屋さくら店主 伊藤忠雅さん>
「とりあえずサクラエビの姿が見れてホッとした」

由比港に近い地元の食堂です。サクラエビをふんだんにを使った定食が人気です。かき揚げも生サクラエビもあります。

<客>
Q.きょうはどちらから?
「千葉です。朝も早く(オープンの)2時間くらい前から来て、楽しみに待ってました」
「ここでしか食べられないので、毎年毎年来てるんですけど、やっぱりおいしいですね」

店主の伊藤さんは新鮮なサクラエビを提供できる喜びを感じています。しかし、心配事もあります。

<ごはん屋さくら店主 伊藤忠雅さん>
「値段うんぬんよりも、駿河湾産のサクラエビがなくなることの方が不安材料」

平均価格が前年比1万8,495円高

<坂口将也記者>
「午前5時半過ぎの由比漁港です。まもなく秋漁の初競りが行われるということで多くの仲買人たちが集まってきています」

11月1日解禁された2023年のサクラエビの秋漁。漁獲量は2022年の秋漁と比べると3分の1程度の約1トンにとどまり、資源回復の兆しが見えた春漁とは対照的に厳しいスタートとなりました。

漁獲量が少ないこともあって、11月2日の由比市場では、15kgあたりの平均価格が8万6,790円と前年の同じ時期と比べ、1万8,495円高くなりました。

専門家は、今回の不漁の原因について、この夏の猛暑による影響があると指摘します。

“高温”でサクラエビ浮上せず⁉

<静岡大学創造科学技術研究部 鈴木利幸特任助教>
「サクラエビが深海から上がってきて、水深50~100m前後のところで、群れをつくるんですけど、海水温がまだ下がり切っていないのではないかと」

昼のうちは深海にいるサクラエビ。夜になると、水深50~100m付近にまで群れをなして、浮上する習性があり、漁師はそのタイミングを狙って網を入れます。

サクラエビの過ごしやすい水温は、18~20℃くらいといわれていますが、1日の夜は夏の猛暑の影響が残り、海水温が下がらず、サクラエビが浮上しなかったため、不漁に終わったみられているのです。

<由比港漁業協同組合 宮原淳一組合長>
「懸念材料とすれば、あまりにも水温が高すぎる。ただ、水温が低くなってくれば、獲れるだろうと。きょうないからと、悲観することはないかなと思っている」

組合長が言うように、水温が下がればサクラエビの漁獲量は増えるのか。わたしたちが、より手ごろにサクラエビにありつけるかどうかは、その点にかかっています。

© 静岡放送株式会社