吉川壽一さんと福井県詩人懇話会に福井新聞文化賞 「新進賞」に重森光太郎さん、本社で贈呈式

賞状を手に記念写真に納まる重森光太郎さんの母の裕子さん(左)、吉川壽一さん(中央)、福井県詩人懇話会代表の黒田不二夫さん=11月2日、福井新聞社・風の森ホール

 2023年度の福井新聞文化賞の贈呈式が11月2日、福井新聞社・風の森ホールで行われた。従来の書の枠にとらわれない表現活動に取り組むSYOINGアーティスト吉川壽一さん(80)=福井市=と、福井県内在住・出身の詩人でつくり福井の文学振興に貢献する福井県詩人懇話会を表彰。一層の活躍が期待される若手を対象に新設された「新進賞」を、ピアニスト重森光太郎さん(23)=同市出身=に贈った。

 吉川さんは1964年に前衛書の世界で最も権威がある「奎星(けいせい)展」で最高賞の奎星賞を受賞した。アラブ首長国連邦の砂漠での書のパフォーマンスなど、国内外でスケールの大きな活動を展開。NHK大河ドラマ「武蔵」の題字も手がけた。

 県詩人懇話会は85年4月に発足し、同人誌の枠を超えて現在54人が所属。郷土詩人を顕彰し詩壇の課題を話し合うシンポジウム「ふくい詩祭」の開催などに取り組んでいる。学校現場での「詩の出前授業」などを通じ、子どもの表現力育成にも力を注いでいる。

 新進賞の重森さんは6歳でピアノを始め、昨年11月に若手音楽家の登竜門とされるフランスのロン・ティボー国際コンクールで4位に輝いた。

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 福井新聞文化賞は59年に始まり65回目。贈呈式では吉田真士社長が「功績に敬意を表し、今後ますますの活躍を祈念します」とあいさつし、吉川さんと、同懇話会代表の黒田不二夫さん(74)に賞状などを手渡した。パリ留学中の重森さんは代理で母の裕子さん(53)が受け取った。

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