50周年のさだまさしさん

 さだまさしさんが帰ってくる。珍しいことではないが、今回は「グレープ」としてメジャーデビューしてから50周年を迎え、その記念コンサートのステージに立つための帰郷だ▲きょうの本紙には、さださんのインタビュー企画が載っており、「長崎でのアマチュア時代から売れるまでのグレープの思い出が大きいですよね」と懐かしんでいる▲それはバイオリニストの夢を諦めて古里に戻り、挫折の中もがき苦しみながら新しい夢を求めた日々だったはずだが、今があるのはその時間があってこそ。輝いて見える▲歌作りでも人生においても「長崎は原点」という。最初のヒット曲「精霊流し」を書いたのは、父の知人で「まぼろしの邪馬台国」の著者、宮﨑康平さんから「おまえは長崎っ子なのに、なぜ精霊流しを歌わないのだ」と言われたことがあったと著作にある▲「長崎っ子」として古里を大切にし、古里からも親しまれてきた。8年前、長崎新聞文化章を受章した際には「恩があるから日本中で古里の話をしている」「古里にほめてもらった気がする」と語った▲長崎でグレープが誕生したのは51年前のきょう。ブドウが長い長い時をへて熟成され上等のワインとなるかのように、きょうのコンサートはきっと観客を心地よく酔わせてくれるだろう。(屋)

© 株式会社長崎新聞社