「コンフォートビズ」じわり 勤務中の通年軽装化、県内11市町導入

10月から通年軽装化を本格導入した酒田市=同市役所

 県内は3日、11月とは思えない陽気となり、薄着で過ごす人も目立った。こうした気象条件の中、業務効率化のため、勤務中の服装を通年軽装化する「コンフォートビズ」が県など県内各自治体で広がっている。試験段階も含め、3割程度の11市町が既に導入している。職員からは「働きやすい」と好評だ。一方「社会的浸透がいまひとつ」「対外的な受け止めが気になる」という理由で、二の足を踏む自治体もある。

 コンフォートビズはノーネクタイやノージャケット、カーディガンの着用などを通年で認め、就業環境の改善や、業務の効率化を図る取り組みで、県は10月に開始した。室温を一定に保ち、服装を調節することで、燃料の使用量削減、地球温暖化防止への貢献も目指している。暦に合わせた従来の服装規定ではなく、場面や状況を考慮しつつ、近年の異常気象や、気温、天候にも応じた服装を各自が選択できる。

 2022年4月に始めた寒河江市は、導入から1年以上が経過した。タートルネックのセーター、ソフトタイプのジャケット、有志が作ったオリジナルポロシャツなどを着用する人が多い。「スーツと違い、毎日洗濯できる服を着るので清潔だ」と好感を持って受け入れられている。試行期間を設け、住民らの反応を見てから酒田市は10月、大石田町は11月から実施している。導入した多くの自治体で、式典や外部の人間が集う場面では正装を求めている。

 県内では金融機関や企業でも同様の服装に関する規定などの変更が見られ、夏以降も気温が高い状況から、クールビズの期間延長などの取り組みが民間でも進んでいる。検討中の自治体の中では「働きやすさにつながる」(中山町)と好意的な意見がある一方、「社会的な理解がどの程度進んでいるか見極めたい」(長井市)といった慎重な声もある。本年度の導入を見送った自治体は「通年軽装化はまだ一般的に浸透していない」などの理由を挙げ、来庁者の受け止め方を懸念している様子。「自治体間で足並みをそろえたい」という声もあった。

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