玄関先に「黄色い旗」なければ… 高齢者の異変に気付いて ご近所同士の見守り始まる 兵庫・佐用

安否確認の旗を掲げる住民=佐用町才金

 兵庫県佐用町西部の才金地区で10月下旬、玄関先に黄色い旗を掲げて安否を知らせる取り組みが始まった。同地区は大きな三つの谷が南北に走り、自治会は「谷筋が違う住民と顔を合わせる機会が少ない」という悩みを抱える。朝と夕方の旗の出し入れで住人の異変にいち早く気付ける仕組みとし、ご近所さん同士の見守りと地域の連携強化を図る。(真鍋 愛)

 才金自治会長の森口治さん(67)によると、同地区は50世帯約160人が暮らす。高齢化率は3割ほどで、町全体の44.1%を下回る。18歳以下の子どもは25人で、森口さんは「佐用の中では若い人が住んでいる集落だ」と話す。

 だが、谷筋ごとに民家が集まる地域のため「日常生活で三つの谷をしょっちゅう行き来することはない」と森口さん。地域の連携を深めようと、高齢者らに異変があれば近隣住民が気付ける取り組みを始めた。森口さんは「互いに見守り合う意識が根付けば、地域全体の安全や助け合いにつながる」と力を込める。

 旗は町が観光客誘致に使うキャッチコピー「ハロー! イエロー!! 佐用!!!」にちなみ、黄色を採用。自治会は10月下旬から、80歳以上が住む世帯に先行して旗を配り始め、来年にも全戸配布する予定という。

 旗を受け取った男性(83)は「元気な人が高齢者らを見るようにすると、地域のまとまりにつながる。旗の出し入れぐらいは負担にならないし、よい取り組みだと思う」と話した。

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