死亡男性の近くにいた“引き手”が語った「事故原因」祭りの山車横転で19人死傷=静岡・伊豆の国市

3日、静岡県伊豆の国市で祭りの山車が横転し、19人が死傷した事故で、死亡男性の近くにいた“引き手”などの話から、山車は地元の消防団による方向転換の作業の際にバランスを崩し、坂を下り始めことが分かりました。

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3日午前、伊豆の国市田京で祭りの山車が坂道で横転した結果、運行に携わっていた72歳の男性が死亡。山車の上から転落したり、巻き込まれたりして、5人が骨盤骨折などの重傷、小学1年生の児童1人を含む13人が軽傷を負いました。

本来は、山車の後ろ側からロープを引っ張ってゆっくり坂道を下りるはずが、3日はその形にはならず、山車は滑りながら坂道を下り、横転しました。

<山本太朗記者>
「山車は橋を渡ってきまして、道路を見ますと、車輪の跡が蛇行したような形になっていますね。歩いていくとかなり急な坂になっていて、山の斜面に一度ぶつかって、その後に、横転したとみられます」

3日、死亡男性の近くにいた山車の“引き手”の男性に話が聞けました。男性によると、山車の方向転換の作業は例年、地元の消防団が担当。3日も地元消防団が木製の「てこ棒」などを使って向きを変え始めたのですが、途中で山車がバランスを崩し、坂を下り始めたということです。

<死亡した72歳男性の近くで山車を引いていた男性>
「転回するときは消防団の人が「手を離してください」と言うので引き手は綱から手を離して、転回は消防団の人がやってくれる。(引き手などは)それを坂の下で待っている状態で、転回している最中にバランスを崩したのか」

Q山車はなぜ、坂を下り始めた?
「山車が(坂の斜面に)寄りすぎていたのかも。山車は1トン以上ありますからその重みで、その勢いのまま行っちゃった」
「(死亡した男性は)山車の右側のロープ。私の斜め前にいた」

Q山車は死亡した男性側に向かって倒れていった?
「そうです」

さらに、今回の事故に巻き込まれ、軽傷を負った男性も取材に応じました。

<山車を引いていて軽傷を負った男性>
「方向転換をちんたらやってるから眺めていた。大丈夫かな?と思ってね。それで(引き手が)みんな坂の下に行っちゃったから俺も下に下っていった。そうしたら何か音がしたんだ『キーキー』とか、『ドスン』なんてしたからとっさに山側に倒れたんだよ。横を見たら2人いて、血を流している人もいるし、自分はどうかと見たら血が出てるし、膝の上も痛みを感じた」

祭りの参加者から挙がったのは、「継承が不十分だったのではないか」という指摘。コロナ禍で祭りが3年連続で中止され、4年ぶりの開催となった年に事故は起きてしまいました。

運行方法などの継承に問題はなかったのか?警察は、業務上過失致死傷の疑いも視野に山車を押収し、横転に至った原因などを調べています。

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