松原秀典さん高岡で交流 展覧会場でサイン会

ファンにサインする松原さん(左)=高岡市立博物館

  ●幅広いファン集う

 「富山新聞アニメEXPO」のメイン行事「松原秀典展」(富山新聞社主催)のサイン会は4日、会場の高岡市立博物館で開かれ、幅広い世代の人々が訪れて、展覧会の主役であるアニメーター松原秀典さん(高岡市出身)と交流した。若いアニメファンばかりではなく、松原作品に心を動かされた年配者の姿もあり、アニメを縁に生まれた「人の輪」が繰り広げられた。

 高岡市福岡町下老子の武田正信さん(73)は、松原さんが作画監督とキャラクターデザインを務めた劇場アニメ「この世界の片隅に」(2016年公開)のDVDを手にサイン会に訪れた。

 「この世界の片隅に」は第2次世界大戦中、軍港の街・広島県呉市に嫁いだ女性「すずさん」の姿が感動を呼び、日本映画史に残るヒットを記録した。松原さんは今回、「すずさん」が家族で高岡大仏を見物に訪れた場面のイラストを描き下ろし、その絵が展覧会のポスターになっている。

 武田さんは松原さんと対面し「普段アニメ映画は見ないが、良い作品で何度見ても涙が出る」と思いを伝えた。その思いを受け止めた松原さんは、「この世界の片隅に」の制作にあたり「素晴らしい原作を後世へ残したいとの使命感があった」と述べ、「アニメに関心がない人にも作品を見てもらえたのがうれしい」と何度も喜びを語った。

 山梨県甲府市の会社員、長田紫織さん(27)は、美少女キャラが印象的な松原さんの代表作の一つ「サクラ大戦」への思いを熱弁。「サクラ大戦がきっかけとなって趣味で絵を描くようになり、この作品が今も生活の力になっている。松原先生から頑張ってと声を掛けられ励みになった」と笑顔を見せた。

 松原秀典展は来年1月8日までの午前9時から午後5時で、月曜(祝日除く)と年末年始は休館。一般千円、中高生500円、小学生以下無料。松原さんのサイン会は1月7、8日にも開かれる。

 このほか「アニメEXPO」では、城端などを舞台モデルとしたアニメ「true tears」の放送15周年記念展が12月4日まで南砺市クリエイタープラザで、シリーズ累計300万部の漫画「左ききのエレン」で作画を手掛けた漫画家nifuni(にふに)さんの個展が11月26日まで高岡市の御旅屋セリオで開催される。

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