別府国際観光港で「全国豊かな海づくり大会」1年前イベント 漁船団パレードや稚魚放流【大分県】

マダイの稚魚を放流する関係者=4日、別府市の別府国際観光港
別府湾をパレードする漁船団
大会テーマの書道パフォーマンスを披露した大分高書道部

 来年11月10日に県内で開かれる「第43回全国豊かな海づくり大会」の1年前プレイベント「おおいた海博」が4日、別府市の別府国際観光港であった。本番の予行演習を兼ね、式典と海上歓迎・放流行事をした。会場では県内で取れた魚介類の試食や販売もあり、大勢の人でにぎわった。

 式典では主催者を代表して佐藤樹一郎知事が「県民総参加で大会を成功に導き、大分の豊かな海を次世代につなげていきたい」とあいさつ。大分高書道部が大会テーマを書道パフォーマンスで披露した。

 海上歓迎行事では、大漁旗で飾り付けた漁船団約60隻が別府湾をパレード。一本釣りや底引き網漁など県内を代表する漁法を船上から紹介した。

 放流行事には関係者約200人が出席し、マコガレイとマダイの稚魚を100匹ずつ海に放した。家族と一緒に参加した別府市春木川小2年の徳丸結伍(ゆうご)君(7)は「大きく育ってほしい。魚を食べるのが大好きなので、将来はおすし屋さんになりたい」と話した。

 会場では水産物を振る舞うイベントがあった。別府溝部学園短大はハモを使ったつみれ汁、ブランドおおいた輸出促進協議会水産部会は養殖クロマグロの刺し身をそれぞれ400食分無料配布し行列ができた。

 県漁協はタコやヒオウギガイ、エソのすり身天などを売り出し、小学生対象の県産魚のつかみ取りも開いた。

■県産ブランドを発信する機会に

 全国豊かな海づくり大会は食卓に安全でおいしい魚を届け続けるため、水産資源の保護管理や環境保全の機運を高めようと全国各地で毎年、開催している。1981年の第1回大会は鶴見町(現佐伯市)の松浦漁港であった。当時の皇太子(現上皇)ご夫妻が来県し、マダイの稚魚などを放流された。県内で開くのは2回目になる。

 大分県は、北は瀬戸内海、南は豊後水道に面してアジやサバ、イワシ、エビ類、シラスといった多種多様な魚介類が水揚げされる。ヒラメやマグロなどの養殖も盛んだ。

 だが、温暖化による海水温上昇や藻場の減少などを背景に、水産資源は減少の一途をたどっている。消費者の魚離れも深刻だ。2021年の県内漁業生産量は5万2398トンで、第1回大会当時の約4割に落ち込んだ。

 来年11月の第43回大会のテーマは「つなぐバトン 豊かな海を 次世代へ」。海を取り巻く問題に関心を持ってもらえるようPRし、大会決議も採択する。「城下カレイ」「かぼすブリ」など県産ブランドを全国に発信する機会にもなる。

 大会には例年、天皇皇后両陛下が出席される。当日は大分市のいいちこグランシアタで式典を開くほか、別府市の別府国際観光港で放流などの行事がある。

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