春高バレー長崎県大会 純心女が48年ぶり優勝 男子は大村工がV2

【女子決勝、純心女-西彼杵】第4セット、純心女のOH中嶋(左)がスパイクを放つ=シーハットおおむら

 バレーボールの第76回全日本高校選手権(春高)長崎県大会最終日は4日、大村市のシーハットおおむらで男女の決勝が行われ、男子は大村工が2年連続20度目、女子は純心女が48年ぶり9度目の優勝を飾った。両校は全国大会(来年1月4~8日・東京)の出場権を得た。
 男子決勝は大村工が佐世保南に3-0でストレート勝ちした。序盤からエース土井の連続得点で勢いづき、第1セットを25-12で先取すると、その後も土井、OP宮原の強打、OH横山のブロックアウトなど多彩な攻撃を展開。MB安元と船戸の時間差やブロックも随所で決まり、第2、3セットはそれぞれ25-14で快勝した。
 女子決勝は純心女が西彼杵に3-2で逆転勝ち。第1セットを20-25、第2セットを21-25で落とした後、堅守で流れを引き戻した。難しいボールを何度も拾ってOH原口、中嶋、MB橋田を軸に着実に得点。第3セットを25-15、第4セットを25-8で連取すると、第5セットは一進一退の攻防となる中、最期は原口が強烈なスパイクを決めて15-12で競り勝った。

◎純心女、西彼杵に逆転勝ち ラスト飾る好ゲーム
 手に汗握る激戦だった。女子は純心女が2セットを連取されてからの大逆転で48年ぶりに春高切符を獲得。ラリーのたびに大歓声が沸き起こり、試合後は「素晴らしかった」と言わんばかりの拍手が涙のコートに降り注いだ。「ようやったね」。田浦監督が絞り出した短い言葉もまた、選手たちへの最大級の賛辞が込められていた。
 第2セットまでは西彼杵のOH佐藤侑の強打などを止められず、要所のラリーも立て続けに落とした。それでも、田浦監督はチームを信頼していた。「面白い試合はできている。ここから3セット取ったらさらに面白いぞ」。その言葉に励まされるように、選手たちは持ち前の堅守でボールを拾いに拾った。攻撃はOH原口、中嶋の強打などに加え、隙を突いたMB橋田のフェイント、OP淀川の鋭角なスパイクを効果的に織り交ぜた。
 25-15、25-8と一気に流れを持ってきて迎えた第5セット。一進一退から連続得点して14-10のマッチポイントをつかんだ。ローテーションは7月の皇后杯全日本選手権県ラウンド決勝で、西彼杵に逆転負けしたときと同じ。当時と同様に原口がブロックされるなど2点を奪われたが、再び原口が強気でトスを呼んだ。最後は文句なしの強打をたたきつけて終止符を打った。
 約2時間、大いに盛り上がったアリーナ。原口は「自分たちへの応援だと思って、絶対に決めてやると思った」と胸を張り、主将の中嶋は「西彼杵がいたからこそ、そこに向かって練習ができたし、成長させてくれた」としのぎを削ったライバルに感謝した。今季ラストの県大会を飾るにふさわしい好ゲームだった。

◎大村工、佐世保南に3―0 自信を胸に日本一へ
 雪辱の舞台となる春高へ、男子は今年も大村工が王座を譲らなかった。ここまでの全国大会で重ねた悔しさから“V字回復”を誓う選手たちは、誰もが納得するほどの強さを決勝で披露。「練習でやったことしか試合では出ない」(朝長監督)というチームの鉄則を共有して一本の質を見詰め直し、まずは県内のライバルたちの挑戦をしっかりと退けた。

【男子決勝、大村工-佐世保南】第1セット、大村工のMB安元がスパイクを決める=シーハットおおむら

 今季は2月の全九州選抜大会で6年ぶり、5月の全九州総合選手権で10年ぶりに優勝。順調に目標の日本一へ歩を進めていたが、下降線をたどった。6月の県高総体優勝後、続く全九州大会は準決勝敗退。8月のインターハイは決勝トーナメント初戦、10月の国体も1回戦で負けた。ラストチャンスへのバネにするだけの経験は十分に積んできた。
 今大会前は徹底して基礎の精度を高めた。チャンスボールは確実に決めきるまで何十本も妥協せずに打ち続けた。慢心や隙をなくすために一枚岩となって「俺たちはこれだけやってきた」という自信をつけてきた。
 迎えたこの日はフルセットで辛勝した3日の準決勝から一転、危なげなかった。セッター富永は「準決勝は自分が考え過ぎた。スパイカーを信頼することが一番」と丁寧にトスを供給。OH土井を中心に鋭いスパイクが相手コートに突き刺さり、安元、船戸のMB陣とのコンビもさえた。
 試合後は一度喜んだ後、すぐに表情を引き締め直し、ここは通過点だと確認し合った。「もう一回、一人一人が謙虚になり、個人としても組織としても日本一への練習をしていく」。主将の土井の言葉に一層の力がこもった。

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