渡良瀬遊水地で急増するイノシシ 湿原や農地の被害懸念 渡良瀬スケッチ③

遊水地内の道路を横切るイノシシ

 9月末の渡良瀬遊水地。日没後、1匹のイノシシが目の前に現れた。道路脇の草むらで餌を探しているようで、その後ヨシ原の中へ消えていった。

 渡良瀬遊水地ではイノシシの生息数が急増している。本県、群馬、茨城、埼玉の4県でつくる渡良瀬遊水地連携捕獲協議会の調査によると、2022年度のイノシシ生息数は488頭で、19年度の205頭から2.4倍に増えた。遊水地にはもともと生息していなかったとされるが、09年度ごろから確認されるようになったという。

 22年度にニホンジカ5頭も確認されており、貴重な湿原や周辺農地への被害が懸念されている。

 遊水地の近くに住む70代男性は「畑の土を掘り返したり、尿をまき散らしたりする。ここ数年で人が住む場所にも出没するようになった」と頭を抱えている。

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