「言葉は必要なかった」両親が誘拐されたルイス・ディアスが劇的同点弾、クロップ監督も喜びを露わに「エモーショナルでファンタスティック」

抱き合うルイス・ディアスとクロップ監督[写真:Getty Images]

リバプールのユルゲン・クロップ監督が、困難の最中でチームを敗戦から救うゴールを決めたコロンビア代表FWルイス・ディアスについて語った。クラブ公式サイトが伝えた。
【動画】苦境のルイス・ディアスが決めた劇的同点ゴール

5日、プレミアリーグ第11節でリバプールはルートン・タウンと対戦した。

昇格組のホームに乗り込んだリバプール。昨シーズンよりは良いシーズンスタートとなっているが、本領発揮とは言えない状況。この試合も攻撃がうまくいかずに苦しむと、80分に先制を許してしまう。

敗戦もチラつく中、ゴールが欲しいリバプールは84分にルイス・ディアスを投入。するとアディショナルタイム5分にそのルイス・ディアスが値千金のゴールを記録。1-1のドローに終わった。

ルイス・ディアスは、10月28日にコロンビア北部のバランカスで、父のルイス・マヌエル・ディアスさんと母のシレニス・マルランダさんが誘拐に遭うことに。ガソリンスタンドで車を止められ、銃を突きつけられた状態でバイクに乗った武装集団に誘拐されてしまった。

母はすぐに解放されたものの、父はいまだに行方不明。コロンビア政府も捜索に動き、軍も動いている中、民族解放軍(ELN)が関与していることが判明。政府が交渉を行っている状況だった。

ピッチ外での想定外の事件に遭遇したルイス・ディアス。ただ、自身ができることがない中で、クロップ監督がメンバー入りさせると、起用してルイス・ディアスが結果を残すことに成功。クロップ監督はこの結果を称えるとともに、本来の解決すべき問題はまだ残っているとした。

「我々がそのことで話さなければならないことは、素晴らしいことであり、エモーショナルでファンタスティックだということだ。ただ、本当の問題は解決されていない」

「我々はルチョ(ルイス・ディアス)に、他のことから少しだけ気を紛らわせる機会を与えたかったし、彼もそれを望んでいた。彼は何もすることができず、ずっと待っていて、家族全員が待っていた」

「彼は我々と一緒に数回トレーニングをしたが、その時は気持ちも良く、彼にとって良いことだった。コロンビアの状況はかなり前向きで楽観的だとは思うが、我々全員が聞きたいことは、まだそれが起きていないということだ」

「彼はあまりトレーニングをしておらず、いつ起用できるか正確にはわからなかった。この試合は、明らかにもう1人の攻撃的な選手が意味を成す試合だった。もし彼が持っているクオリティを出し、15分か20分、正確なプレー時間はわからないが、彼がゴールを決めたのであれば、それは素晴らしいこと。それだけだ」

また、試合後のルイス・ディアスとの会話については特に必要なかったと語り、ポジティブな結果だとしながらも、誘拐事件の解決を望んだ。

「実際、試合後は言葉は必要なかった。我々はただお互いにハグをした。大丈夫だが、正しいニュースを必死に待っているという彼の様子を知っている。それだけだ」

「我々にも過去にこういった瞬間があった。正直に言って、これが素晴らしい話であることは100%理解しているし、彼にとっては非常にポジティブで素晴らしいことだが、こういったことは過ぎ去っていく」

「我々が必要とする本当の情報は別のものだ。それでおしまい。ただ、とにかく彼にとっては本当にポジティブなことだ。でも、他の問題は何も変わっていない」

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