淡路島の誇り、阪神MVP近本「みんな出し切った」 故郷の父、「日本一」の息子に「まさかここまで」

5回、中前打を放ちポーズを決める阪神・近本光司=京セラドーム(撮影・高部洋祐)

 38年ぶりの日本一を達成した阪神タイガース。最高殊勲選手(MVP)に輝いたのは、兵庫県淡路市出身の近本光司外野手(28)だった。頼れる選手会長は日本シリーズ全7試合で計14安打、打率4割8分3厘と切り込み隊長としての役割を存分に果たし「一戦、一戦全力で戦った。みんな出し切った」と胸を張った。地元は熱狂の渦に包まれた。

 日本シリーズ第7戦が行われた5日夜、地元の淡路市内ではパブリックビューイング(PV)が開かれ、近本選手が所属していた少年野球チーム「仮屋クラブ」の児童や地域住民ら約120人が集まった。

 近本選手が打席に入るたびに、会場では手拍子がひときわ大きくなった。「近本」コールが響き、「かっとばせー、ちっかもと!」と声をからして応援歌を熱唱。安打が出ると立ち上がり、周囲とハイタッチして喜び合った。

 この日は5打数4安打の大暴れ。シリーズ3試合目の猛打賞でMVPを確実なものとした。日本一が決まると、歓喜に包まれた会場は「六甲おろし」の大合唱に。地元の酒造会社「千年一酒造」(同市久留麻)が用意したたるに水を入れ、鏡開きも行われた。

 「感無量。いつにない出来で感動した」と喜んだのは、近本選手の父恵照さん(62)。「阪神に指名された時はここまでできるとは思っていなかった。皆さんの声援のおかげ」と誇らしげな表情を見せた。

 試合後、「ファンの人に応えることができたのがうれしい」と相好を崩した近本選手。阪神のユニホーム姿でPVを観戦した仮屋クラブの男児(11)は「きょうはたくさん打ってかっこよかった。僕は普段、チャンスで打席に立つと緊張してうまく打てない。近本選手みたいに打てるようになりたい」と目を輝かせた。 (中村有沙)

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