温厚な薬剤師さん、実はハードロックバンドボーカル 宇井さん(青森県)

【写真右】ハードロックバンドのボーカルとして熱唱する宇井さん=野辺地町のラーメンはやて【同左】薬剤師として仕事をこなす宇井さん=東北町のちびき薬剤センター

 青森県東北町の調剤薬局「ちびき薬剤センター」などを運営する「ハートファルマ」(同町)代表の宇井靖さん(44)=野辺地町=は仕事の傍ら、ハードロックバンドのボーカルとして活動し、“二刀流”の活躍を見せている。職場では、ちびき病院に隣接する同センターの薬剤師として患者に温和に接する宇井さんは金髪のかつらをかぶって変身すると、体全体を使ってシャウトして熱い魂を表現。「非日常のエンターテインメント。自分たちも楽しみながら、音楽を通じ地域を盛り上げたい」と話す。

 宇井さんは東京都北区出身で、高校時代からハードロックに夢中になった。ただ、当時は見る専門だったという。30歳で仕事の関係で野辺地町に移り住んだ後、声をかけられ、同町を中心とした5人組のバンド「ロックンロールイエー」を組織した。青森市に拠点を置く「バイオレットムーン」にも所属。二つのバンドで1カ月に1回ほどのステージをこなす。

 「最初は化粧して登場するのが恥ずかしかった」(宇井さん)が、バンド活動をして10年以上が経過。今では「気分的にスイッチが切り替えられてストレス発散になる」と語る。

 「うまさにはこだわらない。勢いよく歌い、お客さんに笑顔で帰ってもらえるよう心がけている」という。

 野辺地町のライブハウス「ラーメンはやて」でこのほど、30人を超す聴衆を前に、レッド・ツェッペリンの「ロックン・ロール」や、ステッペンウルフの「ワイルドでいこう!」など7曲を、髪を振り乱しながら熱唱した。

 時々、ライブ中、宇井さんの二刀流を知らない病院関係者や薬局を訪れる患者と遭遇することもあり、驚かれるという。

 患者として同病院と薬局を訪れる野辺地町の宮澤秀男さん(78)は「最初、(宇井さんのバンド活動を)知らなくてライブハウスに来たら、薬局の薬剤師に似ていると思った。声をかけたら本人でびっくりした。普段はおとなしいタイプなので、ギャップが大きい。変身した姿も好きですね」と話した。

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