繊細な色彩表現と飽くなき探求 版画家・古川龍生 生誕130年で企画展 小山市車屋美術館

古川龍生生誕130年の企画展

 【小山】市出身の版画家古川龍生(ふるかわりゅうせい)(1893~1968年)の生誕130年を記念した企画展「古川龍生木版画展-人物モチーフと街景・海浜風景」が乙女3丁目の市車屋美術館で開かれている。同館は「特長である繊細な色彩表現の豊かさと、木版画表現への飽くなき探求を見てほしい」としている。12月10日まで。

 古川は羽川に生まれ、25歳で東京美術学校日本画科予科に入学。卒業後は木版画の制作に没頭し、春陽会などで入選を続けた。戦時中は羽川に疎開し、戦後に版画制作を再開。75歳で亡くなるまで精力的に創作を続けた。

 同館の五十嵐直子(いがらしなおこ)学芸員は「美術学校入学時の父親との約束だった『絵を売らない』を守っていたことや、作品の完成度を求め1点しか刷らないことが多かったため市場に出回る作品は少なかった」と説明する。

 今回は県立美術館が所蔵する作品40点と、美術学校入学前後に使用したスケッチブックなどの資料5点を展示している。「訪客図」(1927年)「街C」(59年)「夏の砂浜」(66年)など27作品が、市内では初公開となる。

 初期は輪郭が太い作品が多かったのに対し、輪郭を細く繊細な表現とした中期、入り組んだ直線やアルファベットのような形で都会の建物や人物を表現するようになった戦後の作品と、時代ごとの作風の変遷も楽しめる。

 午前9時~午後5時。月曜と第4金曜、祝日の翌日は休館。一般400円、高校・大学生250円、中学生以下無料。(問)車屋美術館0285.41.0968。

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