佐賀県重要無形民俗文化財に指定されている「米多(めた)浮立」がこのほど、上峰町の老松神社などで奉納された。全長2.4メートルの巨大な三日月型の「天衝(てんつき)」をかぶった舞い手が「天衝舞(てんつくまい)」を披露し、集まった地域住民は、勇壮な舞に感嘆の声を漏らしていた。
米多浮立は江戸中期から続く五穀豊穣(ほうじょう)を願う伝統芸能で、同町前牟田地区の住民らでつくる米多浮立保存会が2年に1度奉納。3人の若衆が同時に天衝舞を舞う、珍しい形式を現代に伝えている。
笛や鉦(かね)、大太鼓の音が響く中、黒装束の青年3人が頭を大きく振りながら勇壮な舞を披露した。本年度から保存会会長を務める杉谷勘一さん(74)は「地域の交流や若い世代への継承のためにも伝統を引き継いでいきたい」と話した。(井手一希)